かつて、黄金時代のチームリーダーだった石毛宏典は、緊張感のない若手選手を見つけると、チームの士気を高めるため容赦なく叱責していたという。当時、ライオンズにはキャプテン制度こそ存在しなかったが、石毛は常勝ライオンズを代表するリーダーだった。
昨年、第4代キャプテンを務めた秋山翔吾は他者に厳しく、自分には一層厳しく、その言葉と姿勢と実績でチームを率いるリーダーだった。
周囲を巻き込み、ぐいぐいとライオンズを率いた彼らを「剛」と表現するならば、今年からキャプテンに就任した源田壮亮を表す漢字は間違いなく「柔」だ。ときには試合に敗れて悔し涙を流すこともあるが、その熱い気持ちはそっと胸に秘め、空気を読み、ふわりと、穏やかにチームメートに寄り添っている。
「うまいこと聞き役になれるような」
理想とするチームリーダー像について聞くと、ほほえみを浮かべながら数秒、考えて源田はこう答えた。
「石毛さんの時代は『厳しかった』とうかがったこともあります。選手同士で、けっこう思ったことをぶつけ合ったりしていた、と……。でも、うーん、難しいなぁ。選手って人それぞれだと思うので、厳しく言われて燃える人と、逆にシュンとなる人がいると思うんです」
石毛の時代とは、そもそも選手が育った環境が違う。そしてキャプテン像に正解はなく、キャプテンの数だけキャプテン像があるのも当たり前だ。
「自分はうまいこと聞き役になれるようなキャプテンを目指したいですね。それが今のライオンズには、いいんじゃないかと思っています。みんな大人だし、自分で何でも考えることができる選手ばかり。だから、何かあったときに頼られるようなキャプテンが理想だし、風通しのいいチームになれればと思っています」
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