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<真のアスリート第一とは?> 野村忠宏が語る「東京五輪1年延期」

2020/04/21
夢の祭典開幕へのカウントダウンは「あと122日」でリセットされた。人類への試練ともいえる世界規模の新型コロナウイルスの感染拡大。その中での「もう1年」はアスリートに何をもたらすか。論客2人に話を聞いた。(Number1001号掲載)

 東京五輪の1年延期は現役選手にどのような影響を及ぼすのか。

 まず思ったのは、先行きが見えない不安の中で、ストレスを感じながらトレーニングをしてきた選手たちにとっては、目標を再設定できて良かったということだ。もし中止となっていたら、今を生きているアスリートのすべての夢が絶たれることになる。

 実際に延期が決まってからのアスリートの発信は皆、ポジティブだ。

「自分を強くする時間が増えた」

「来年7月に向けてさらに強くなった自分を見せていきたい」

 このような言葉を聞くと私も嬉しいし、実際に彼ら彼女らには決意があると思う。

 今はケガをしているという選手も、1年あれば立て直せるだろう。時間ができたことによって、自分が世界一になるために試してみたい技術など、色々なチャレンジができるという見方もできる。

柔道の内定者たちをどうするか。

 ただし、1年延期になり、選手の新たなケガのリスクが増えたとも言える。アスリートは常にケガと隣り合わせだ。どれだけ集中して練習をしても、ケガの瞬間は突然に訪れる。身体にはケアできない部分があり、酷使すればするほど消耗する部分がある。ケガの原因は疲労の蓄積や免疫機能の低下など様々だが、防ぎようのない事故が来夏までにあるかもしれない。

 私自身、'08年北京五輪の前年5月の日本代表合宿で右ひざ前十字じん帯を断裂してしまった。当時は五輪4連覇を狙っていた時期で、'07年世界選手権で優勝して北京五輪の代表選考につなげていこうと意気込んでいた矢先のアクシデントだった。

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photograph by Asami Enomoto

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