#997
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<楽曲に込めた思い> いきものがかり・水野良樹 「オリンピックという大きな物語に寄り添って」

2020/02/21
ロンドン・オリンピックの様々なシーンを思い出すあの名曲はいかにして生まれたのか。そのプロセスから水野のアスリートへの熱い視線が浮かび上がる。(Number997号掲載)

風が吹いている 僕はここで生きていく
晴れわたる空に 誰かが叫んだ
ここに明日はある ここに希望はある

『風が吹いている』(作詞・作曲:水野良樹)

 風が吹いている――。

 いまも耳に残る、NHKのロンドン・オリンピックの放送テーマソング。いきものがかりの代表作の一つでもあるこの曲の作詞・作曲を手掛けたのは、リーダーの水野良樹。東日本大震災の混乱がまだ収束を見せない状況で作り始められたこの曲に込めた思いや、7月に東京にやってくるオリンピックに、どんな期待を持っているのかを聞いてみた。

 アスリートにとって、オリンピックは4年に一度だけの大会。だからこそ、投下する熱量も多いし、いろいろな感情が湧いてきますよね。歓喜。失望。緊張。テレビでは家族の表情が映し出されもします。

 放送テーマソングの依頼を受けて思ったのは、「いろいろな要素を入れていきたいな」ということでした。オリンピック中継の様々なシーンに対応できるよう、静かだったり、厚みがあったり、あるいは観衆の大合唱をイメージできるパートだったり。たくさんの要素を詰め込んでいったら、7分40秒にもなってしまいました(笑)。

僕の暑苦しさを、ボーカルが変換してくれた。

 曲作りは、メロディを作ることから始まります。その後に、歌詞です。

 この曲の構造ですが、冒頭の部分は「Bメロ」で構成されています。最初は、出だしにサビの部分を持ってくる「頭サビ」で考えていたんですが、どうもうまくいかな
くて。そこで「頭Bあるかな?」と考えていくと、「きっと紅白歌合戦で歌うことになるから、静かに歌い出したい」といったイメージも湧いてきて(笑)、静かに入りつつ、歌詞は「大きな言葉で始められたらいいかな」と思い、こんな出だしになりました。

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photograph by Takuya Sugiyama

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