世界水泳選手権での日本勢は、瀬戸大也が2冠を達成するなど、一定の成果を挙げたが、歴史上の価値を考えてみると、男子200m自由形における松元克央の銀メダル獲得は、2019年の大会できわめて重要なものだった。日本は第二次世界大戦前の五輪では自由形でメダルを獲っていたが、戦後になると、五輪、世界選手権で自由形の成績は下がっていった。中でも100mと200mは、1960年のローマ五輪以降、決勝に残ることさえなかなかできなくなった。
100mに関しては、'32年のロサンゼルス五輪で宮崎康二による金メダル、'52年のヘルシンキ五輪で鈴木弘による銀メダルなどがあったが、200mに関しては、ずっとメダルがなかった。200mは、日本がまだ五輪に出場していなかった1900年のパリ五輪で初めて行われたあと、'68年のメキシコシティー五輪で種目になるまで行われなかった。'68年以降は、ずっと欧米と豪州に押され、五輪の200mで日本勢が決勝に残ったのは2008年の北京五輪、奥村幸大が最初だった。'73年から開催されている世界選手権では、200mはずっと行われているが、前回の'17年の大会まで、日本勢のメダル獲得はなかったのである。
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