オークス、ダービーをダブル制覇した藤沢和雄調教師(65)。無制限に近い形で馬房を管理することができた遠い時代に尾形藤吉調教師(1892-1981)が伝説に刻んだ1669勝、重賞189勝という数字には及ばないものの、通算1351勝、重賞101勝、うちGIレースを26勝(6月4日現在)という輝かしい実績は現役の断然首位。無人の野を走る別格の存在だ。
そんなスゴい人でも、ダービーは今年のレイデオロが初勝利。開業2年目の'89年にロンドンボーイを出走させて22着(24頭立て、10番人気)に敗退したあと、13年もの空白期間を置いたのがこの人らしいところで、「誰もが勝ちたいレース。俺だって同じだけど、人間のエゴを優先させて馬に過度な負担をかけるべきじゃないと思う」と、我慢の理由を語っていたものだ。13年ぶりに出走に踏み切った'02年のシンボリクリスエス、マチカネアカツキが2、3着。'03年のゼンノロブロイも2着。「3歳春の時点で東京の芝2400mを走らせてもへこたれない馬」という藤沢師の厳しい眼鏡にかなった馬でも、栄光にはもう一歩のところで手が届かなかった。
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