長年、日本マラソン界を牽引しているパイオニアが、“コーヒーについて語る時に語ること”に耳を傾けると、自分自身との向き合い方のヒントが見えてきた。
「朝5時から6時に起きて、バナナを食べながらコーヒーを淹れるというのが日課です。コーヒー自体が好きというのもありますし、カフェインを摂取することでパフォーマンス、特に集中力が上がるので、特に大事な練習の前は必ず飲むようにしています」
この日、大迫はとてもリラックスしており、笑顔が多かった。スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京で初開催された「ROASTERY TOKYO COFFEE + RUN 」の雰囲気が、ここまで記録のために、勝負のために走り続けてきたランナーの心をほぐしたのかもしれない。

昨年12月のバレンシアマラソン、大迫は鈴木健吾の持っていたマラソン日本記録を1秒更新(従来の記録が2時間4分56秒で、新記録が2時間4分55秒)。そして異例とも言える短いインターバルを挟んで、3月の東京マラソンに出場すると2時間5分台のタイムで日本人1位と、注目を集めた母国最大のレースでもしっかりと結果を残した。
大迫はほぼ毎朝、練習前にコーヒーを淹れて、飲むことをルーティンとしている。本人のインスタグラムにも、ケメックスを片手にコーヒーをドリップする映像や写真が時折登場しているので、知っているというファンも多いかもしれない。
大迫は日本、アメリカ、そしてケニアなど世界中で練習を積み重ね、そしてレースに出場しているが、日々の中で「1杯のコーヒー」はどんな存在なのか。スターバックスの19代コーヒーアンバサダー・山口明日海さんらとのトークセッションでは、変化の大きい環境で、日々厳しいトレーニングに励むマラソンランナーの貴重な日常が垣間見えた。
「学生時代もコーヒーを飲むことはあったんですけど、ルーティンになったのは大学を卒業して社会人1年目からですかね。アメリカにいると、みんなスタバのカップを持ってオフィスに行くじゃないですか? それがかっこいいな、って(笑)。僕はオフィスはないですけど、コーヒーを持って練習に行ったりしていましたね」
「(高地合宿をする)ケニアはコーヒーの種類もたくさんあるんですけど、現地でも結構値段が高いですね。フレンチプレスで淹れるんですけど、毎朝、ニワトリの声を聞きながら(笑)、涼しい風にあたりながら飲んでます。やっぱりアメリカとは朝の時間の雰囲気が違いますよね」
では、マラソンのレース当日はどうなのだろうか。
「試合前に飲むこともありますね。これはちょっとコーヒーというよりカフェインの話になってしまいますが、カフェインの効果が出るのは口に入れてから1時間前後と言われているので、あまり早く摂りすぎず直前に摂取するようにしています。そしてそのカフェインの効果を最大化するために、レース前1週間ほどはカフェインを控えるようにしています。でも、毎朝のコーヒーはルーティン化しているので、匂いだけでもないと体が起きないということもあり、レース前はカフェインの入っていないものを淹れたりもしていますね」
また「コーヒー」を毎朝のルーティンとすることの効果についても語った。本人はリラックスして語っていたのだが、ここにマラソンという苦しい競技において、トップレベルで活躍し続けられる秘密の一端が隠されている気がした。
「日本でも、アメリカでも、ヨーロッパでも、朝が1日の中で一番静かだし、空気が澄んでいるじゃないですか? その時間にきっちり起きてしまえば、大体の悩み事とか、ネガティブな感情とかが消えていく感覚があります。だから朝早く起きて、コーヒーを淹れることで、リズムが整うというか、世界中、どこの街にいっても、変わらない自分で1日をスタートできると思っています」

100点ではなく、「常に80点」を目指す理由
インタビュー動画では以下のトピックについても話をしてもらっている。
- コーヒーを淹れながら考えること
- 朝の時間を大切にするのはなぜ?
- 「正しい使い方がわからない」コーヒー道具は?
- バリスタとマラソンランナーの共通点
- 100点ではなく、「常に80点」を目指す理由
- 質問「周囲のアドバイスをどう受け止める?」への答え
- SNSへの投稿は「結構忘れてます(笑)」
- 好きなコーヒーショップは?
トークセッションの内容をほぼ余すことなく収録した25分の動画では、マラソン日本記録保持者がベテランという領域に達しても第一線で走り続けることのできるメンタリティの一端が明かされている。
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