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【動画】「自分の感情は捨てて、心を鬼にしました」初マラソン日本新…矢田みくに26歳が語る“世界陸上の失望”と駅伝リーダー論「寄り添うだけでいいのか」《インタビュー/前編》

2026/06/02
 今年1月の大阪国際女子マラソンで矢田みくにが驚異のタイムをマークした。終盤までアフリカ勢と競り合うなど、積極的で、かつ魂のこもった走りを見せ、初マラソン日本記録となる「2時間19分57秒」の激走。日本歴代6位の好タイムをマークした裏にはどんな練習があったのか。東京世界陸上での葛藤、クイーンズ駅伝優勝の舞台裏など、26歳の超新星がじっくり語ってくれた。
<前後編の2本立て/後編はこちら。近日中にエディオンの沢栁厚志監督、現役から退いの細田あいさんの動画インタビューも公開予定です>

「周りの反響が大きかったので、ちょっとだけ有名人になった気がしました」

 大阪での初マラソン日本最高の好記録に周囲は沸いたが、当の本人は淡々としていたという。

 なぜなのか。矢田に話を聞いていくと、が冷静に自分を律することができているのは、昨年9月、国立競技場の大舞台で悔しさを経験していることが大きいようだ。

Nanae Suzuki
Nanae Suzuki

 東京世界陸上、女子10000m。矢田は「このために陸上をしていたんだ」と思えるほど幸せを噛み締めながらスタートラインに立っていた。しかし、レースが進むにつれて大一番に調子を合わせてきた廣中璃梨佳ら、トップ集団の背中は次第に遠くなっていった。

「やっぱり強いな。そう思いながら走っていました」

 怪我や体調不良で万全だとは言い難かったもののそれは言い訳にほかならない。しかしその悔しさが大会終了直後に気持ちを奮い立たせた。

 矢田を前へ向かわせたのは、2カ月後に迫っていた全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)だった。

「副キャプテンの水本(佳菜)が頑張ってくれているのを感じたので、一瞬落ち込みはしましたけど、すぐに気持ちを切り替えることができました。それに、そういうときこそ行動しなければ何も変わらないと思って」

 昨季でキャプテンを務めて3シーズン目。大役を引き受けた当初、矢田は周囲の顔色を窺い、寄り添うだけの「優しいリーダー」だった。だが、沢栁監督の「今、寄り添うだけで、その子の将来のためになるのか」という問いにハッと気づかされる。

「確かに、自分はみんなに好かれようとしていた部分があったと思います。でも、それは誰のためにもなっていないことに気づいてからは、チームで勝つためには何が必要かだけを考えて、声をかけるようになりました」

 動画では、涙したというチームの優勝や自身の走りについて、じっくり語ってくれている。

Kiichi Matsumoto
Kiichi Matsumoto

  矢田の強さを語る上で欠かせないのが、練習の7割を占めるという「ジョグ」だ。マラソン挑戦を決める前から、1km4分20~30秒ペースで身体の声を聞き、脚を作ってきた。その積み重ねが、初マラソンであの驚異的な記録を生んだ。

 そんな彼女が「超えます」と意欲を見せるのが、2024年1月の大阪国際女子マラソンで前田穂南が記録した、2時間18分59秒の日本記録。

「5kmごとのラップを比較すると、ほぼ前田選手の方が少しずつ速いんです。その積み重ねが42キロで大きな差になっているという印象ですね」

「心を鬼にすること」はなぜ必要だった?

 インタビュー動画・前編では以下のトピックについても話をしてもらっている。

  • 世界陸上が「ボロボロな結果だった」わけは?
  • 大舞台で感じたトップ選手のメンタルの強さ
  • 寄り添うだけでは「キャプテンとは言えない」
  • 心を鬼にすることはなぜ必要だった?
  • クイーンズ駅伝は100点満点中何点だった?
  • トラックとマラソンの二刀流は可能なのか
  • 初マラソンを前に「怖いです」不安の正体は
  • 理想のマラソンランナー像は?

 なぜ彼女はこれほどまでに迷いなく、ひたすら陸上に没頭できているのか――。その覚悟を抱くまでの経緯と次なる戦略を語った約45分のンタビュー。続く後編と合わせてご覧ください。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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