新天地のビッグクラブでは最高峰のレベルを体感し、
試練も味わった。ユナイテッドで得た世界との距離感と
手応えを胸に、Shinji Kagawaは次のステージに挑む。
野心に満ちた日本のエースが、率直な心境を明かした。
試練も味わった。ユナイテッドで得た世界との距離感と
手応えを胸に、Shinji Kagawaは次のステージに挑む。
野心に満ちた日本のエースが、率直な心境を明かした。
両手をかかげ、安堵と喜びと後悔を一緒くたにかみしめていた香川真司が自らのポリシーに基づき、歩みを進めていく。
向かった先にいるのは、金髪のヒーローで、胸には背番号4番がプリントされている。
2013年6月4日のオーストラリア戦が終わり、香川が最初に健闘をたたえた相手は、ブラジルW杯出場権を手繰り寄せる同点ゴールのPKを決めた本田圭佑だった。
自分がゴールを決められなかったら、いつだって悔しく思う。それでも――。
試合の後には点を決めた仲間を祝福しなきゃいけない。
それが香川のモットーだ。
試合が終わり、1時間以上が過ぎたころ、選手が取材を受けるミックスゾーンでは記者が5重の人だかりを作って香川を待ち構えていた。その後方からは表情など、とてもうかがえない。かすかに聞こえる声だけが頼りだ。
「喜び過ぎたかな(笑)。疲れました。W杯出場は目標ではないけど、W杯に行くのは子供のころからの夢。ホームで、ファンのみなさんと喜びを分かち合えるのは、素晴らしいことだと思うから。素直にうれしいです」
「圭佑君はやっぱり、違いを生み出す。自分も存在感を……」
喜びと安堵を口にしたうえで、あとは自らを戒めた。
「圭佑君はやっぱり、こういうところで違いを生み出す。その存在感は大きかったし、それが結果にも表れている。でも、そういう選手がさらに2、3人、強いチームになるには必要となってくる。自分も存在感を……」
答えは出た。
本田だけが頼りのチームではダメだ。チームの中心は本田なのか、香川なのか。いや、他にもいる。そう思わせるチームにならないといけない。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Naoya Sanuki