#830
巻頭特集

記事を
ブックマークする

<元主将の回想と提言> 宮本恒靖 「コンフェデからW杯へあと1年で何ができるか」

2013/06/18
W杯出場を決めた代表に残された時間は多くない。
コンフェデに挑むザックジャパンは、この舞台で何を得て、
来るべき本番にどう繋げるべきなのか。ラスト1年のプロセスを
もっとも良く知る男に、“コンフェデ活用術”を聞いた。

 コンフェデで何を掴み、W杯にどうつなげるか――。決してレベルが高くないアジアにいる日本代表にとって、最も重要なテーマのひとつだ。

 その“ラスト1年”のプロセスにおいて、元日本代表キャプテンの宮本恒靖は、歓喜と悔しさの両方を味わって来た人物である。

 現在、宮本はFIFA大学院の授業のため、スイスに滞在している。首都ベルンの目抜き通りのカフェの席に着くと、選手時代と変わらぬ引き締まった表情でゆっくりと語り始めた。

「コンフェデは特殊な大会ですよね。タイトルがかかっているから真剣味はある。けれどW杯予選ほど『負けちゃいけない』というプレッシャーはない。だからレベルの高さを楽しみながら、チャレンジできる。チームの立ち位置、そして個人の立ち位置がはっきりと見えてくる大会です」

“アジアボケ”していたチームが衝撃を受けた'05年のメキシコ戦。

【論点1】アジアと世界の差をどう克服するか。

宮本恒靖 Tsuneyasu Miyamoto
1977年2月7日、大阪府生まれ。'95年にガンバ大阪入団。'02年W杯ではベスト16進出に貢献。'06年W杯では主将としてチームを支えた。'07年オーストリアのレッドブル・ザルツブルクへ。'11年の現役引退後は、解説者として活躍する傍ら、昨年9月からFIFAマスターに在学している。

 W杯アジア予選と、各大陸の王者が集う大会では当然レベルが異なる。W杯モードに切り替えるうえで、コンフェデは絶好の舞台だ。

 宮本は日本代表のキャプテンとして、2005年にドイツで開催されたコンフェデに出場した。メキシコ、ギリシャ、ブラジルと同組。W杯予選でバーレーンや北朝鮮と戦っていた日本にとっては、どこも格上である。

「レベルのギャップが大きかったですね」

 少しずつ宮本は記憶を呼び起こした。

「初戦のメキシコ戦で覚えているのは、自分たちが守備でプレッシャーをかけようと思っても、かけ切れなかったこと。相手のボール回しがうまかったからです」

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Takuya Sugiyama

0

0

0

前記事 次記事