春場所千秋楽。万雷の拍手のなか、ひとりの十両力士が土俵を去った。かつて「平成の新怪物」の異名を取った元大関の雅山だ。
'98年7月、明治大学を3年で中退し、武蔵川部屋(現藤島部屋)から幕下付出デビュー。幕下2場所、十両2場所と、史上初の「4場所連続優勝」の快挙を成し遂げた。重い足腰と圧力のある突き押し相撲を武器に、'00年名古屋場所、わずか2年の最速スピードで大関に駆け上がる。横綱武蔵丸、武双山、出島、そしてこの雅山の昇進で3大関が揃い、和歌乃山、垣添の三役力士も脇を固めた当時の武蔵川部屋は、まさに「春満開」。その勢力を咲き誇らせていたものだった。
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photograph by KYODO