32歳で初めて迎えるW杯の舞台。
その出場権を自身のゴールで掴みとることはできなかった。
ザックジャパンにおける1トップの役割を彼はどのようにとらえているのか。
年齢を重ねながら成長を続けてきたゴールハンターが決戦を前に明かした
試行錯誤の過程と独自のFW像とは。
その出場権を自身のゴールで掴みとることはできなかった。
ザックジャパンにおける1トップの役割を彼はどのようにとらえているのか。
年齢を重ねながら成長を続けてきたゴールハンターが決戦を前に明かした
試行錯誤の過程と独自のFW像とは。
後半19分、ハーフナー・マイクとの交代が告げられると前田遼一はタッチラインへ向かい走り出した。そのラインを越え、ゲームに関与できなくなった瞬間、彼は強く唇をかんだ。W杯出場をかけたヨルダン戦で先発出場。
「こういうシチュエーションで戦える機会は少ないし、アウェーの雰囲気や悪い芝も嫌いじゃない」と挑んだが、絶好のシュートチャンスをモノにできなかった。交代はしょうがない。ただただ、自身の力不足が許せなかったのだろう。
試合終了から約4時間が過ぎたアンマンの空港に到着した前田は、すっきりとした表情で「改めて巧くなりたいと強く思った試合だったね」と試合を振り返った。そんな前田に“巧さ”とは何かと問う。
「正確な技術はもちろんだけど、やっぱり判断かな、動く場所とかタイミングとか。そういうところでうまくいかない場面が、今日の試合では多かったから」
悔しさを胸の奥にしまいこみ、明日からの練習に想いをはせる。そんな目で遠くを見つめた。
「ポストプレーしているなんて思ってもみなかったなぁ」
14シーズン目、今年32歳を迎える前田のプロ生活は、FWになるための道程だった。
「プロ選手になるのは子供のころからの夢だったけれど、そのとき描いていたイメージは確実にFWではなかった。ポストプレーしているなんて思ってもみなかったなぁ」
Jリーグで2度の得点王に輝く屈指のゴールハンターは懐かしそうに笑う。2005年から、7シーズンで二桁ゴールをマークし、Jリーグ通算128得点、歴代3位まで登り詰めた(2013年3月17日現在)。
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photograph by Tatsuya Nakayama