人は彼に何を求め、また彼はサッカーに何を求めるのか。
あの狂騒から長い年月が経って初めて語る、8年前の出来事と、ジーコジャパンへの思い――。
岡田武史は、ワールドカップを経験した、ただひとりの日本人監督である。にもかかわらず、岡田のなかで長い間、ワールドカップは封印されていた、ように思う。少なくとも彼自身の口から、8年前の出来事が語られるのは稀であった。では今、ワールドカップは彼のなかでどう消化されたのか。そしてジーコジャパンは、彼の目にどう映っているのか。
――まず最終登録メンバー23人についてですが、どうご覧になられましたか?
「22人は予想通りで、ジーコはメンバーを変えないから、失敗しない限りこれでやるとは思っていた。ジーコらしい人選だよね。久保竜彦は膝と腰に怪我を抱えていて、このまま本大会を迎えるのは不安があったので、最後に決断したんでしょう。マスコミが巻(誠一郎)、巻と騒いで、多少はそれに押されたのかも知れない。仕方がないとは思う」
――岡田さんのときは三浦知良の落選(※1)、フィリップ・トゥルシエは中村俊輔の落選がありました。そして今回の久保ですが、それぞれは同列に論じられるのでしょうか?
「違うと思う。ひとつだけ共通点があるとすれば、勝つためのメンバーを監督が選んだということ。好き嫌いではなく、日本代表監督として最強の人選をした。久保は怪我、中村はポジションが他の選手とダブったこと、カズはあらゆるシミュレーションをしたけれども出番がなかった。それぞれ根拠は違うから」
――松井大輔の落選についてはどうですか?
「彼は選ばれておかしくない選手だけれども、ジーコジャパンではそれほど試合に出ていない。ジーコはこれまでの貢献度で選ぶと公言していたから、当然の選択でしょう。今現在のベストよりも過去の貢献度優先は、ブラジル式なのかなあ。ブラジル代表は、カフーやロベルト・カルロスがいまだに選ばれているから。こういう選び方を日本でするとどうなるのか、楽しみではあります」
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