- #1
- #2
オリンピックPRESSBACK NUMBER
「箱根駅伝に出る男子になった気持ちで…」アジア大会で“異例の3メダル獲得”田中希実が語った言葉の意味は?「世界は常識を覆してくる」27歳の決意
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byJIJI PRESS
posted2026/10/06 11:02
アジア大会で3つのメダルを獲得した女子陸上の田中希実。「まさかの種目選択」も話題に
5000mでもレースはヤヴィとの一騎打ちになった。
「ラスト1周60秒を切ったら勝機があるんじゃないかと思っていた」と、その通りの展開に持ち込み、ラスト1周(400m)を59秒でカバーした。
スタミナに重きを置いていた期間があったにもかかわらず、ラストスパートの切れ味は鋭さを増していた。それでもヤヴィは一枚上手だった。
ADVERTISEMENT
「59秒で走っても負けたということは、本当に彼女が“あっぱれ”ということ。しかも“59秒で走ったら勝てる“と思っていた常識を覆してくる“世界”を実感することができました」
敗れてなお、田中はこんな前向きな言葉を残していた。
ただ、アジアでは通用しても世界の強者たちがこぞって出場するレースでは、今回のような展開に持ち込めるとは限らない。
「今回は余裕があったなかで仕掛けて負けた。しかし世界はそのラストの余裕さえも作らせてくれない」
こう話すように、それは田中自身も重々承知している。
「異例の挑戦」に見た田中の新たな可能性
田中の戦績を遡ると、19歳だった2019年の日本選手権で初めて10000mのレースに出場している。その年のクロスカントリー日本選手権を制して、出場資格を獲得していたからだった。
その日本選手権では6位だったが、その年に田中はドーハ世界選手権に出場するなど一気に世界へと羽ばたいていった。今回のアジア大会およびそこに至るまでの10000m挑戦も、今後の田中の新たな展開への吉兆に思えてならない。
スタミナとスピードとを両立させた田中にさらなる可能性を感じた大会だった。

