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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「4試合連続日本新記録!」も…田中希実が明かした“焦り”「世界との差を感じています」「スピードを取り戻さないと勝つことは永遠にできない」
posted2025/03/03 11:03

米国での室内大会で4試合連続で日本記録を樹立した田中希実(25歳)が、その手応えと焦りを明かした
text by

及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Shizuka Minami
室内レースに積極参戦する理由
「田中希実、日本新樹立」
陸上ファンには見慣れたフレーズではないだろうか。
昨季、室内の世界選手権3000mで日本新記録(兼アジア新記録)を出した際、「また(日本新記録を出したのは)田中か、って思われるかもしれませんが」と田中は冗談混じりに話したが、今年の室内大会では4試合連続で日本新記録樹立を成し遂げた。
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レースの内訳を見てみたい。
1月31日 米国ボストン1000m1位、2分39秒06
2月2日 米国ボストン1600m 6位、4分28秒54
2月8日 米国ニューヨーク3000m6位、8分33秒52(アジア記録)
2月15日 米国ボストン5000m1位、14分51秒26(アジア記録)
特筆すべきは最後のレースだ。
本来、ニューヨークの試合後に欧州ポーランドで800mもしくは1500mへの出場を予定していたが飛行機の遅延により急遽予定を変更して再びボストンへ向かい、5000mに出場。9月に東京で開催される世界陸上の参加標準記録(14分50秒)にはわずかに届かなかったものの、日本記録で優勝し、遠征を終えた。
日本では室内レースはほぼ皆無で、馴染みがない人も多いと思うが、欧米では毎週どこかで室内の試合が開催されている。
田中健智コーチは「室内試合で現状を確認できますし、屋外のレースにスムーズに移行するためにはとても重要です」と話す。冬の間に積み重ねてきた練習がどう生かされるのか、屋外試合に向けて足りない部分は何なのかをしっかり見極め、練習をアレンジできる。屋外の大事な試合でしっかり戦うために室内試合は重要な役目を果たす。
チーム田中が積極的に室内のレースに参戦するのは、そういった理由がある。
思うように走れなかったケニア合宿
順風満帆のシーズンインのようにも見えるが、コンディションはさほど良くなかった。
1月の全国女子駅伝に田中は兵庫県の主将としてアンカー9区の10キロ区間を務めた。震災から30年の節目となる年とあり、レース前には中高生の前でスピーチをするなど並々ならぬ決意で臨んだレースだった。