- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
那須川天心、井上拓真との再戦は早すぎた?「テンシンをスターに押し上げたくなる気持ちはわかるが…」英国人記者が考える“世界王者”への階段
posted2026/10/01 11:09
帝拳ジムの浜田剛史代表と葛西裕一トレーナーと共に会見で試合を振り返った那須川天心(28歳)
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Takuya Sugiyama
バンタム級ライバル対決のポイントはどこにあったのかーー。
9月27日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われたWBC世界バンタム級タイトル戦で王者・井上拓真(大橋)が那須川天心(帝拳)に3-0判定勝ち。昨年11月、同じ会場で勝った相手とのリマッチで返り討ちにするとともに、ライバル対決に決着をつけた。
試合は序盤、井上がリードを奪うも、7回に那須川が強烈な左ストレートを決めてダウンを奪った。それでも井上のペースは乱れず、最後まで主導権を相手に渡さなかったことで明白な判定勝ちを手繰り寄せた。やはり注目すべきはあのダウンシーンとその前後の戦い方だったのだろう。
ADVERTISEMENT
この試合後、リングマガジンの編集人を務める英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通。すでに何度も日本に足を運んでおり、その言葉には常に説得力がある。〈全2回の前編。以下、グレイ記者の一人語り〉
なぜ井上拓真を倒せなかったのか
7ラウンドにテンシンが奪ったダウンは本当に鮮烈だったと思う。あの回のテンシンは違う角度から攻めかかろうという努力が見え、タクマが右側に体を沈めるような動きを繰り返していることにも気づいたんだろう。
DAZNの放送で解説を務めたIBF世界スーパーフライ級王者アンドリュー・モロニーも実況でその点を指摘していた。相手の隙を感じ取って、テンシンがそこを利用したということは素晴らしかった。
ただ、タクマを倒すことと、倒れたままにしておくことは別の話だ。タクマがこれまで一度もKO負けしていないのには理由がある。ダウン直後のタクマは少しダメージを受けているようにも見えたが、テンシンはそこからさらにいいパンチを当てることはできなかった。クリーンに当たったパンチは1発か2発あったけど、それだけでは十分な威力がなく、タクマに大きなダメージを与えるほどではなかった。タクマほどの優れた技量を持っている選手が相手なのだから、あそこでフィニッシュまで持ち込めなかったこと自体は仕方がないことだと思う。
それよりも私が気になったのは、7ラウンドに仕掛けたようなペースアップをテンシンがより早い段階でできなかったことだ。

