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ボクシングPRESSBACK NUMBER
那須川天心、井上拓真との再戦は早すぎた?「テンシンをスターに押し上げたくなる気持ちはわかるが…」英国人記者が考える“世界王者”への階段
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/10/01 11:09
帝拳ジムの浜田剛史代表と葛西裕一トレーナーと共に会見で試合を振り返った那須川天心(28歳)
序盤のテンシンはタクマに先に仕掛けさせようとしているかのようで、ほとんど『さあ、先に来てみろ』と誘っているような感じだった。テンシンの動きは第1戦と比べて少し多彩になっていたと思うが、攻めを一貫して続けることができなかったがために、結局はタクマのジャブとストレートで前半はほとんどのポイントを取られてしまっていた。
少し異なった形で攻めた7回のような攻勢をおそらく3ラウンドか4ラウンドくらいからやるべきだったと思う。試合後半になるまで、相手にラウンドを与え続ける必要はない。しかも、相手はポイントを奪い、大差で勝つことが得意なチャンピオンだ。そういう相手に対して試合の後半までラウンドを奪われてしまえば、巻き返すのは非常に難しくなる。
もちろん、今になって私がそう言うのは簡単だ。実際には、そのタイミングで攻める隙がなかったのかもしれない。ただ、私の目にはテンシンが前半にあまりにも多くのラウンドでポイントを渡してしまったことで、試合に勝つチャンスを少なくしてしまったように感じられた。
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試合終了時、テンシンは自分が勝ったとかなり自信を持っていたようにも見えたが、私もタクマが間違いなく勝つに値する戦いをしたと思った。それでも、私の採点は結果的に114-113と小差だった。
露呈した“経験”の差
試合中に適切なタイミングでゲームプランを切り替える能力というのは非常に重要だ。第1戦ではテンシンが素晴らしいスタートを切って最初の2、3ラウンドを取ったのはまだ記憶に新しい。私も『これはテンシンが勝つんじゃないか』と思ったが、まばたきをするくらいの速さで状況が変わった。テンシンはコーナーに戻って笑顔を見せている一方で、タクマが全部をひっくり返してしまった。タクマがそれをできるのは、経験があるからだ。過去に同じような場面を経験している。十分なスパーリングを積んできたから、どうすればいいのかを知っている。
テンシンはダイナミックなボクサーになる才能を間違いなく持っていると思う。格闘技のセンスがあり、見ていても面白い選手だ。でも今回は最初の6ラウンドで、攻撃的なところが十分に見られなかった。おそらく『前回はそれをやったけどうまくいかなかった。だから今回は少し違うことをやらなければいけない』と考えたのかもしれない。違う姿を見せようとしていたのはわかるが、適切なタイミングでプランを切り替えられないのは経験不足に起因するというのが私の考え方だ。


