博多の人・王貞治BACK NUMBER
「お前は日本シリーズでまた投げるんだ!」ダイエーリーグ連覇直後の悲劇…藤井将雄の死去の速報に「何が何だか…。何が起きたのか…と」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byKoji Asakura
posted2026/08/31 11:04
リーグ連覇を果たした直後、藤井将雄が世を去り、ホークスに激震が。藤井を敬愛する斉藤和巳が当時を振り返る
ああいうこと、あまりやらないですよね? 若田部にそう問うと「やらないですね」と、少し表情を緩ませながら、こう続けた。
「藤井さんだから、とかじゃないけど……。自然の流れです」
王が胴上げされるその横で「15」も一緒に舞っていた。
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優勝の喜びに浸っていた病室で、藤井の携帯電話が鳴った。
「やりましたよ、藤井さん」
声の主は、小久保だった。電話口に、次々と仲間たちが出てくる。
「おめでとう」「ありがとう」
何度も繰り返した藤井の声は、感激の涙でくぐもっていた。
「2000年は、工藤(公康)はいない、藤井はいない。それでもよく勝ったよ。工藤が抜けたから弱くなった、って言われたくなかったからね。頑張ってくれたのが(渡辺)正和と長冨やった。藤井の役割を、あいつらが頑張ってやってくれた」
そう振り返った尾花高夫も、何度となく、藤井の見舞いに訪れていた。
「本人も、うすうす感じていたのかな。もう『ありがとうございます』とか、感謝の気持ちばっかり、言うんだよ」
だから尾花は、何度も何度も、同じ“コーチ指令”を繰り返した。
「おい、何を言ってるんだ。お前は、日本シリーズでまた投げるんだぞ」
優勝を見届けた6日後に
歓喜のリーグ連覇から、わずか6日後。
2000年10月13日、午後10時。藤井将雄は永遠の眠りについた。
斉藤が、藤井の死を知ったのは、自宅のテレビに流れた「ニュース速報」のテロップだったという。
「あの速報は……たまらんかったな、ホントに」——。
日付をまたごうとしていた頃だった。
「速報って、初めに音が鳴るでしょ? あ、何やろと思って、事件とか災害とか、そういう感じかなと思ったら『福岡ダイエーホークス』って出てたんで……」
藤井将雄投手、死去——。

