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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「そのときだけは野球のことを考えなくていい、と」DeNA深沢鳳介が“絶望”から復活、初完封に至った意外なきっかけ「旅したことで新鮮な感覚に」
posted2026/08/24 11:01
今季プロ初勝利をつかむと、その後初完封まで達成し先発陣の一角をうかがう深沢。トミー・ジョン手術からの復活を助けてくれた「ある時間」とは
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Takashi Ishizuka
7月5日、ヤクルト戦。肉体に火を入れ、背水の陣でマウンドに立った深沢は、アベレージ145kmという、以前よりも5kmほど球速の上がったストレートを軸に、スライダーやカットボール、スプリット、カーブといった多彩な変化球を織り交ぜてイニングを重ねていき、5回、67球、被安打2、無失点で、ついにプロ初勝利を飾った。
「直前のファームの試合でも球速が上がっていたのを実感していたので、シーズン当初よりも自信を持って試合に挑むことができました。しっかりと対バッターに集中できましたし、持ち味であるコントロールも上手く使えて打たせて取ることができたので、非常によかったと思います」
小さくうなずきながら深沢はつづける。
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「やはり真っすぐが速いほうが、変化球が生きてくると実感しましたし、あらゆる意味で決断できてよかったなと思っています。初勝利の味ですか? いやもう喜びはもちろんあったんですけど、これまで支えてくれた周りの方々への感謝の思いが大きかったですね。本当に長い道のりでしたから……」
しみじみとした様子で、深沢は優しい笑顔を見せてくれた。
足りなかった“強さ”を身をもって知った
そんな深沢の変化や成長について、トミー・ジョン(TJ)手術後から傍らで寄り添ってきた、入来祐作二軍チーフ投手戦術・育成コーチは次のように語る。
「投げる能力に関しては、素晴らしいの一言です。ただ彼に足りなかったのは“強さ”でした。わたしとしては『ストレートが強くなるとバッターの反応ってこんなに変わるんだよ』ということを体感して欲しかった。とはいえ彼の場合、ファームであれば器用さやコマンド(制球力)のよさでしのぐことができていました。だから“強さ”にあまりフォーカスすることができなかったと思います。けれども今季一軍を経験したことで、それが通用しないことを身をもって知ったと思うんです」
自分のことを語るような神妙な表情で入来コーチはつづける。

