博多の人・王貞治BACK NUMBER
「お前は日本シリーズでまた投げるんだ!」ダイエーリーグ連覇直後の悲劇…藤井将雄の死去の速報に「何が何だか…。何が起きたのか…と」
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byKoji Asakura
posted2026/08/31 11:04
リーグ連覇を果たした直後、藤井将雄が世を去り、ホークスに激震が。藤井を敬愛する斉藤和巳が当時を振り返る
「何が何だか……。何が起きたのか、正直……」
そこから、何をどうしたらいいのか、これからどう動くべきなのか。何も考えられなくなった。茫然自失、信じられない、信じたくないというのは、こういう状況なのだろう。
見舞いに行ったのは、千葉に出発する前だから、ほんの9日前だ。
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なんで? 藤井さん? だって、2軍でも投げていたじゃないか?
「あれ、2試合くらい?」
斉藤がそう問うてきたから「6試合」だと告げた。
「えっ? そんな投げてたんだ?」
斉藤の声が裏返った。
「振り返ってみたら、この人、やっぱりどういう精神力をしていたんやろと。亡くなってから、さらに尊敬が強くなったというか、もし自分が、まあ、本人はそれを知らなかったとしても、あの体調の中で、あそこまで自分ができるかといったら、どうなんやろ、と」
悲劇のエース・斉藤和巳の闘い
後に斉藤は、2003年に20勝を挙げるなど、ホークスの押しも押されもせぬ大エースに成長する。沢村賞も2度獲得するなど、日本球界を代表する右腕となった斉藤は、2003年からの5年間で70勝19敗。しかし、とんでもない成績を残した代償は、ブレーク前にも手術歴があった右肩に、大きなダメージとなって現れた。
2006年、プレーオフ第2ステージ第2戦。北海道日本ハム相手に先発マウンドに立った斉藤は、9回まで一人で投げ続け、0-1でサヨナラ負け。シリーズ敗退が決まった。力尽きた斉藤は、敗戦の瞬間、両ひざから崩れ落ちたまま立ち上がれず、フリオ・ズレータとホルベルト・カブレラの2人に抱えられ、マウンドを降りていった。

