博多の人・王貞治BACK NUMBER

「監督、今日は何対何で勝つつもりなんです?」「なんで今?」ダイエー王貞治を驚かせた唐突な問い…「勝つシナリオは7割決めておく」意味とは? 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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photograph byNaoya Sanuki

posted2026/08/06 11:06

「監督、今日は何対何で勝つつもりなんです?」「なんで今?」ダイエー王貞治を驚かせた唐突な問い…「勝つシナリオは7割決めておく」意味とは?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

投手コーチに就任した尾花は投手陣を整備しつつ、王にも投手運用について意識の改革をうながした

「150キロでも、ベース板を通る時には球が遅くなっていくわけですよ。でもペドラザの場合、スピードは140キロ台なんですけど、球が強いんです。バッターの手元で動く幅も大きいし、これらを総合してみて『これ、後ろでいけるんじゃないですか?』って尾花さんに話したのは、すごく覚えていますね。後ろが確立できたというのは、やっぱり99年の戦い方だったんじゃないかな、と思っていますね」

 そう振り返った城島の、そして尾花の予感通りに、ペドラザはその年、シーズン途中からの加入で27セーブをマーク、シーズン48試合登板で本塁打を1本も許さなかった。

監督、今日は何対何で勝つつもりですか

 右腕の藤井将雄、左腕の2枚・吉田修司、篠原貴行の中継ぎ陣から、9回のペドラザにつないでいく「勝利の方程式」は、4人合わせて20勝4敗31セーブ。リリーフだけで14連勝という驚異的な勝ち星を挙げた篠原は「出たら勝つ、という雰囲気にさせた」と尾花高夫。ただ、その起用法に関しては、尾花の綿密な計算と、貫いたポリシーがあった。

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「俺的には、もう勝つためのシナリオを7割、試合前に決めておく。そうすると、監督も楽だし、焦らないじゃないですか。残りの3割は、相手の代打の兼ね合いだとか、その起用法に合わせなきゃいけないということはあるけども、こっちの基本的な考えとしては、こういう流れで行きますと」

 尾花は試合前、王と必ず「投手起用のシミュレーション」を打ち合わせた。その“きっかけ”は1999年、敵地・西武ドームでの開幕戦直前のことだった。

「監督、今日は何対何で勝つつもりですか」

 監督室にやって来た尾花の唐突な問い掛けに、王は驚きを隠せなかった。

「なんで今、そんなことが大事なんだ?」

 王にとっても、試合前にコーチから、そんな“展開予想”など尋ねられたことがなかったのだろう。「監督、びっくりしてたよ」という尾花の“詰問”は、緊張感が漂う試合前の空気を、さらにピリついたものに変えていく。

【次ページ】 西口文也から2点取れますか?

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