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「日本は、もう番狂わせを起こせない」? W杯オランダ戦を報じた開催国・米メディアから消えた“ある単語”「まるで映画のような後半だった」
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2026/06/16 17:14
サッカー北中米W杯の初戦で強豪・オランダと引き分けた日本代表チーム
日本を報じる米メディアから消えた「ある単語」
もうひとつ見逃せないのは、試合後の記事で「アップセット」という言葉の存在感が薄いことだ。
2022年カタール大会でドイツ、スペインを破った記憶もあり、大会前には日本がオランダを破る可能性は番狂わせとして語られていた。だが、実際に2対2で引き分けた後、『The Guardian』や『SB Nation』、『FOX Sports』が強調したのは驚きよりも試合の質だった。日本は意外な善戦者ではなく、好ゲームを作った一方の主役として扱われていた。
では、日本はなぜ「意外な善戦者」ではなく、一方の主役として扱われたのか。
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理由のひとつは、オランダに主導権を握られた時間帯でも、試合を壊さなかったことにある。前半はオランダにボールを握られ、支配率でも大きく上回られた。それでも日本は最終ラインを崩され続けたわけではなく、危険な場面では最後のところで体を張った。劣勢の時間帯をしのいだことが、後半の反撃につながった。
その象徴が鈴木だった。序盤にはドニエル・マレンの決定機を防ぎ、前半34分にも至近距離のヘディングをセーブ。オランダに試合を一気に持っていかせなかった。
鈴木は、アメリカメディアにとっても注目しやすい存在だ。
『スポーティングニュース』は、大会前に「日本のGKは誰か」という特集記事を掲載している。アメリカ生まれで、ガーナ人の父と日本人の母を持つ背景を紹介しながら、若くして日本代表のゴールを守る存在として取り上げた。
開催国アメリカの読者にとって、鈴木は単なる日本代表の守護神ではなく、多文化的な背景を持つ現代的なアスリートとして映っている。
もちろん、オランダ戦で目を引いたのは鈴木だけではない。
中村は、後半12分に試合の流れを変えた。フィルジル・ファンダイクの先制弾でオランダが主導権を握りかけた直後、日本は左サイドからテンポよく攻め込み、『New York Post』が今大会の“ブレイク候補”と評した久保建英からパスを受けた中村が右足を振り抜いた。強豪相手に先制されても、チームが受け身にならない。中村の一撃は、日本の現在地を象徴していた。

