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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「松井秀喜ははっきり言われていると思うよ」長嶋茂雄さん一周忌に中畑清が明かす“教えと約束”「私には、明るく、楽しい監督になりなさい、と」
text by

赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byNumberWeb
posted2026/06/03 11:01
長嶋さんの一周忌にあたり、日本代表監督時代の思い出、さらに松井秀喜氏への思いまで、中畑清氏が秘話を明かした
ニコニコして「プレッシャーもいいですねえ」
「今でも覚えているのはやはり10.8です。絶対に負けられない試合で、チーム全員にものすごいプレッシャーがかかってる中、長嶋さんひとりだけがニコニコ、ニコニコしてる。『プレッシャーもいいですねえ。きょうはゲームを楽しみなさい』って、あの長嶋さんの言葉があったから、みんな本来の力を出してプレーできたんだと思う。
日本シリーズにも勝ったし、私としては今度こそ何も思い残すことはありませんでした。日本一になって長嶋さんを胴上げする。選手の頃からずっと抱いていた夢を、打撃コーチになってやっと叶えることができたんだから」
長嶋さんは2001年で巨人の監督を辞任すると、02年12月からオリンピックの日本代表監督に就任。中畑氏はヘッド兼打撃コーチとして、2004年アテネ五輪を目指すミスターを支えることになる。
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そこで中畑氏が見たのは、これまでプレッシャーをものともしなかったミスターからは想像だにできない姿だった。中畑氏は掠れた声に身振り手振りを交えて、当時の長嶋さんの姿を再現して見せた。
あのプレッシャーに強い長嶋さんが……
「アジア予選決勝リーグ(2003年11月5~7日、札幌ドーム)は中国、台湾、韓国戦で、ひとつも負けられない。それ以上に勝って当然と見られている。毎試合、長嶋さんは一番声を出して、打席に向かう選手ひとりひとりに声をかけていました。
だから、宿舎のホテルに帰ってくる頃には声はガラガラ。ユニフォームを脱ぎながら、『キヨシ、これがプレッシャーというものなんだな』と言うんです。ぐったりした顔で、はあっ、はあって大きく息をしながら。あのプレッシャーに強い長嶋さんがですよ。10.8のような歴史的決戦ですら、笑顔を絶やさず、試合を楽しんでいた長嶋さんが、五輪のアジア予選ではプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
それでも、チームのみんなの前では、まったく一言もそんな弱音を漏らしてはいません。私とふたりきりだったからこそ、思わず本音が口を突いて出たんだと思います。
長嶋さんはそれだけ、日の丸の重みを感じていたんでしょう。もともと非常に愛国心が強い方ですから。自分が監督になると、ユニフォームの日の丸の位置を、肩口から背中の首の下に変えている。文字通り、日の丸を背負って戦っていたんです」

