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湯河原温泉オレンジマラソンで始まった日本初の挑戦「血糖値を測りながら走る」
text by

君塚麗子Reiko Kimizuka
photograph byShiro Miyake
posted2026/06/02 06:00
今年の湯河原オレンジマラソン。県内外から約2500人が参加
こうして始まったのが、今回の“市民ランナー血糖値測定プロジェクト”だ。
まずはこの取り組みに関心を持ったランナーたちが参加する形でスタートした。
“血糖値を測りながら走る”日本初の挑戦
文藝春秋のランニングクラブ「BRC(文春ランニングクラブ)」のメンバーや関係者を中心とした40~50代の男女10名もこれに参加。普段から走ることを習慣にしている市民ランナーたちだ。
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参加者たちは大会数日前から持続血糖測定器「Dexcom G7」を装着し、専用アプリ「PASTA」と連携。血糖値の傾向を把握した状態で大会当日を迎えた。
すると、健康意識が高く、日頃から走っている市民ランナーたちの身体にも意外な事実が見えてきた。
血糖値が上がりやすい人、食後高血糖を起こしやすい人、そして、自覚のないまま“血糖値スパイク”を繰り返していた人――。
特に参加者が驚いたのは、「良かれと思っていた補給」が逆効果になっていた可能性だった。
「おにぎり補給が逆効果」ランナーが受けた衝撃
50代男性ランナーはこう話す。
「いつもレース前にはおにぎりを食べてエネルギー補給をしているつもりでした。でも、それによって血糖値スパイクを起こしていることが分かって怖くなった」
また、40代男性ランナーはスポーツドリンクや補給食に衝撃を受けたという。
「パフォーマンスアップのためにと思って摂っていた補給食やスポーツドリンクで血糖値スパイクを起こしていることが判明して驚きました。逆効果になっていた可能性があると思うとショック。根本から見直したい」
もちろん、マラソンに糖質補給は不可欠だ。ただし、“何を、いつ、どのくらい摂るか”は個人差がある。
トップランナーが血糖値データを活用する理由もそこにある。
40代男性ランナーはこう振り返る。
「箱根駅伝のランナーが腕に測定器をつけていて興味がありました。今回初めて血糖値を測定してみて、自分が食後高血糖になりやすいことが分かった。今後は数値を参考にしながら、日々の食事を見直したいです」
トップランナーの常識は市民ランナーにも広がるのか
山田医師は、今回の試みを“健康診断”ではなく、“気づきの機会”として捉えている。
「今回は初回ということで、多くのランナーの方に実践していただくことは難しかったのですが、体験していただいた方からは、普段の食事だけでなく大会前後の食事についても見直す良いきっかけになったという声が聞けて良かった。ランナーの方はもともと健康意識が高いので、この取り組みに興味を持ってくださる方も多く、嬉しく思っています。今後も継続して健康増進に役立てたい」
“走っているから健康”とは限らない。
そんな現実を可視化した今回の試み。湯河原温泉オレンジマラソンで始まった小さな挑戦は、やがて市民ランナーの新しい常識になっていくのかもしれない。
レース後の“ご褒美” 湯河原で体験したい「ロカボ流美食」
では、実際にランナーは何を食べればいいのか。
今回、湯河原温泉オレンジマラソンで始まった「血糖値を測りながら走る」取り組み。その背景にあるのが、山田悟医師が湯河原町で進めるヘルスツーリズム事業「湯河原×ロカボ流美食」だ。
ロカボというと、糖質制限というイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし山田医師が提唱するのは、糖質を極端に減らすのではなく、血糖値が急上昇しにくい食べ方を意識する”ゆるやかな糖質コントロール”だ。
重要なのは「何を食べないか」ではなく、「どう食べるか」。



