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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「レイシストがルールを作っている」元日本代表選手も猛批判…ラグビーリーグワンの“新規程”が大紛糾のナゼ リーグ側は「差別を意図したものではない」
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJMPA
posted2026/05/11 06:05
2019年のW杯では日本代表として活躍した中島イシレリ。今回の新規定での影響を受ける選手のひとりで、その方針を強く批判した
これまで「4」だった「B+C」は「7」まで拡大。こうなると、新規で獲得した外国人選手7名の同時出場が可能になる。「日本育ちの選手を増やす」と掲げて導入した施策が、逆に外国から新規選手の流入を増加させ、日本の高校・大学で育った選手の出場機会を圧迫する事態も想像される。
東海林専務理事はカテゴリA-2とBの出場枠を合体させた理由について「実際の試合でのメンバー交代のコントロールが不可能」と話した。脳震盪防止など安全対策を強化している現在のラグビー試合を運営するにあたり、3種類の出場カテゴリーを遵守し、スクラムなど専門性の高いポジションや負傷に伴う特例にも配慮しながら負傷交代、出血や頭部負傷に伴う一時交代などを管理するのは「人智を超えた状態」(東海林氏)というのも事実だろう。だが、施策の運用が難しいことは、一部の人の権利を奪う理由にはならないはずだ。
進展しない「サラリーキャップ」の導入
また、「特定の選手に需要が集中する恐れがある」「カテゴリA-1の外国出身選手が一部のチームに偏ってしまうと公平な競争を阻害する」と新制度導入の必要性を説明する一方、人件費の抑制・戦力の偏り防止に有効とされるサラリーキャップの導入にはリーグワン誕生当時から「検討している」といいながら進展していないのもバランスを欠く。
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30日の会見で玉塚元一理事長は「差別を意図したものではない」「誤解です。残念です」 と強い口調で繰り返し「2035年、39年のワールドカップを招致できるよう、ラグビー界の良い流れを作っていきたい。これからも丁寧に説明していきたい」と強調した。
だが、玉塚代表理事が話すように「ラグビー界の良い流れを作っていく」のが希望なら、なおさら拙速は避けた方が得策に思える。日本ラグビーの発展、日本代表の躍進を支えた功労者へのリスペクトを欠く施策は、「国籍を超えたOne Team」「多様性の象徴」というラグビー日本代表が発信してきた価値を毀損しているとみなされかねない。
「日本の小中学生たちにリーグワンでプレーしたいと思ってもらえるように」という目標は該当選手も含め多くの関係者が合意している。それだけに、新たな制度導入は慎重に進めてほしい。
「多様性」「国籍を超えたOne Team」を尊び、対戦相手をリスペクトするラグビー界の姿勢は、排外主義・分断が蔓延する現代社会において貴重なカウンターカルチャーだ。決して競技人口が多くないラグビーが多くの人の支持・共感を得ている理由、ラグビー界が社会に貢献できる最大の理由はそこにあるのだから。

