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「もったいなかったな、と」早大“山の名探偵”が振り返る初マラソン挑戦…「どこで仕掛けようか」好調から急失速の意外なワケは?「学びはありました」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2026/04/28 06:01
3月の東京マラソンで好走した“山の名探偵”こと早大4年の工藤慎作。実はレース中にはアクシデントも起きていたという
初マラソンにはところどころに罠が潜む。たとえば、気温が上がった状態でのレースでは、給水が必須となる。ただし、給水ポイントは駆け引きのポイントにもなるし、トラブルの元にもなる。
「トラックやハーフマラソンの位置取りに比べたら、そこまでたいへんではなかったです。というよりも、みなさん良心的でした(笑)。トラックに比べれば1秒の価値がそこまで大きくないので、気持ちに余裕があるのか、給水ポイントが近づいてくると、事故を減らすために、みんなが隊列を組むように縦一列になるんです。これは自分がフルマラソンを走って、初めて気づいたことです。集団の後方にいたこともあり、落ち着いてボトルを取ることが出来ました」
30km過ぎも「まだ余裕があった」が…突然の異変
工藤は快調だった。有力選手ほど集団内の揺さぶりに対応していたが、工藤は自分のペースを崩すことなく後方でレースを進めることができた。
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「30kmを過ぎて、自分にはまだ余裕がありました。周りを見ると、口が開いてきたりしていたので、自分としてはどこで仕掛けるか考えていたんです。でも、34km過ぎから右のふくらはぎが攣りそうな感じがしてきたんです」
以降、フィニッシュ地点まで「200mに一度はピクッとするような、そんな予兆があって」という状態となり、この時点で工藤は目標を完走、そしてマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権獲得(2時間9分00秒以内、かつ日本人6位以内)に切り替え、ペースをダウンさせた。
「完全に攣ったわけではなかったですが、35kmを超えて、初めての刺激、初めての負荷がかかって、それに身体が反応したということでしょう。やっぱり2月までの練習の絶対量が不足していたのかなと思います。そこで力むと完全に攣ってしまうのでペースを落としたら、心拍数が1分間で170回ほどだったのが、160から150台に落ちていました。心肺機能的には余裕があったので、もったいなかったですね」

