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《りくりゅう引退》「僕は飼育員なので」「私は動物!?」木原龍一と三浦璃来の相性の良さを物語るエピソード「世界で1つだけのペアになりたいです」
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byWataru Sato
posted2026/04/24 17:03
2023年世界選手権で初優勝を遂げたりくりゅうペアが語っていた“相性の良さ”とは?
「世界選手権が終わったら、好きなものを食べよう!と話していました。トロントでの普段の食事が、ゆで野菜やゆで卵など、味がしないものばかりだったので」(木原)
「私も野菜中心で、たんぱく質はにぎりこぶしの量の胸肉、と決めてちゃんと管理していました。日本に着いてからは、ウォーミングアップのたびに『あと5回』『あと4回』とカウントダウンして(笑)。走りながら食べ物の名前を叫んでました」(三浦)
3月20日からは、さいたまスーパーアリーナでの世界選手権の公式練習がスタート。木原は万感の思いで、氷に立った。
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「僕は、ペアを組んだ最初のシーズン、全日本選手権も世界選手権もこの会場で、それから10年たちました。あの頃は自分に自信がなくて、全日本選手権のフリーは開始2秒でコケたんです。たぶん最速記録です。三浦さんと組んで、自信をもってこの舞台に帰ってくることが出来た。感謝の気持ちしかないですね」
SP本番は、始まる前から笑顔がこぼれ、パーフェクトの演技で会場を魅了する。すべてのエレメンツでGOEの加点がつき、自らがNHK杯で記録した今季世界最高点を更新する80.72点の自己ベストが表示されると、三浦は思わず立ち上がった。
「技が成功するたびに温かい拍手をいただけて、楽しいなという気持ちを感じることができました」
フリーも悪い緊張感はなかった。イタリアのペアが驚いたというほどのスピード感で、ツイストやリフトを次々と決めていく。しかし後半のスロー3回転ループで転倒し、演技を終えた瞬間、三浦は悔しさで顔を歪めた。その肩を抱き、木原が囁いた。
「僕たちはやることはやってきた。ベストではなかったけれど、胸を張ろう。観客席を見てごらん。胸を張って帰ろう」
コーチに「2人の相性の良さ」を訊ねると…
三浦はうなずきながらも、マルコットコーチの顔を見た途端、涙があふれる。総合222.16点、今季世界最高点での優勝が決まると、悔し涙は歓喜の涙に変わった。
改めて『2人の相性の良さは何なのか』とたずねると、次々と答えが返ってきた。


