- #1
- #2
Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
「ずっと龍一くんが励ましてくれて…」《りくりゅう引退》支え合う2人の軌跡…本人たちが語っていた“最後の五輪”への覚悟「自分たちを信じるだけ」
posted2026/04/21 11:04
引退を発表した木原龍一と三浦璃来の「りくりゅうペア」。直前のアクシデントも乗り越え、ミラノ五輪では金メダルを獲得した
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto / JMPA
2人がいつもの関係を取り戻したのは、同年の全日本選手権後。“2人で滑れるだけで幸せなんだ”という初心に返り、25年世界選手権では王者に返り咲いた。
「あのときの経験を思い出して、僕達にはそこから1年積み重ねてきた経験があると思い直しました」(木原)
「今出来ることにフォーカスしよう」
三浦が脱臼した直後、ショートの滑走順は2番目だった。5分程度しか待ち時間はない。名前を呼ばれ、スタートの位置に立つと、木原は三浦に話しかけた。
ADVERTISEMENT
「怪我にフォーカスするんじゃなくて、今出来ることにフォーカスしよう。1年間やってきたんだから、絶対に僕達は成長してる」
三浦も緊張した顔でうなずく。
「最初のポーズにつく直前までずっと、龍一くんが励ましてくれていました」
曲は、昨季のショートから継続となる『Paint It Black』。力強く、切れ味のある動きで観客を引き込むプログラムだ。オフの間、振付師のシェイリーン・ボーンとブラッシュアップを重ね、一体感を磨いてきた。
「最初に両手を上げるところで、肩が不安定だなと感じました」(三浦)
動きが慎重になる三浦を、木原は必死にサポートする。
「手を引っ張ることが出来ないので、全部の場面で、手を引いているように見せながら滑りました」(木原)
繋いでいる手を離さないように、でも引っ張らないように。木原が広げた手のひらに三浦がそっと手を重ねる。木原が歩調をあわせて距離を保つ。三浦はその気配りを察した。
「全部調整してくれていました。特にステップのフットワークでは、気を付けてくれているのが分かりました」(三浦)

