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〈りくりゅう引退〉木原龍一は「止まると死んでしまう回遊魚」恩師が明かす強烈負けず嫌いな素顔と「ヘタレ記念に」贈ったスーツケース秘話
posted2026/04/18 06:00
引退を発表した木原龍一と三浦璃来の「りくりゅう」ペア
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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JIJI PRESS
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ドラマティックな逆転劇で日本フィギュア史上初の金メダルを獲得した「りくりゅう」。木原龍一がペアに転向する前、ジュニアのシングル時代に約4年間指導した恩師・成瀬葉里子さんが、その知られざる素顔と、10年以上にわたって木原の傍らにあり続けた"相棒"の秘話を語った。
「止まると死んでしまう回遊魚タイプ」
成瀬さんが語る木原の印象は「自由奔放」だ。指示通りに動かず、勝手にプログラムを変えてしまうほどだったという。高校生になって急激に身長が伸び、成長痛で数カ月間滑れない時期もあった。シーズンが終わると1カ月ほど「音信不通状態」になることもあったが、ものごとをネガティブに捉えないタイプで、「野球がやれて楽しいとか、友達と遊べて楽しいって思っていたんじゃないかな」と成瀬さんは振り返る。
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しかし、いったんリンクに上がれば目を見張るものがあった。
「1時間半、ほぼ止まらず動き続けるんです」と成瀬さんは振り返る。他の選手の親御さんから「木原くんはうちの息子の3倍は滑っています」と驚かれるほどで、その原動力は強烈な負けず嫌いの性格にあった。
「ヘタレ記念に」贈ったスーツケース
そんな木原の本質を物語るエピソードがある。高校時代に出場したエストニアでのGPシリーズでフリーの演技で失敗し4位に終わった木原は、「ヘタレだ」と自らを責めた。その悔しさを忘れさせたくないと考えた成瀬さんは、「ヘタレ記念に」と青いスーツケースをプレゼントする。
木原はそれを10年以上使い続け、壊れるたびに修理を繰り返した。そして2022-23シーズン前についに新調する際、木原が選んだのはまったく同じ型のスーツケースだった。「あのスーツケースが彼にとっては"お守り"だったのかもしれないですね」と成瀬さんはしみじみと語る。
木原は三浦との出会いによって、シングル時代からどのように進化していったのか――その詳細は本編で描かれている。

