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「あのホームランを防げたのか…」阪神・坂本誠志郎が明かす“打たれた者にしかわからない”1球の怖さ「僕はあの1球をとがめることなんてできない」
posted2026/04/20 17:08
プロ11年目、32歳で迎えた今季、日本一を目指す阪神の坂本誠志郎捕手
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Kiichi Matsumoto
発売中のNumber1141号に掲載の[正捕手インタビュー]坂本誠志郎「あの1球から学んだこと」より内容を一部抜粋してお届けします。
「ああ、しんど……」
2025年の秋、坂本誠志郎が日本シリーズを戦う福岡ソフトバンクホークスの打線と向きあうなかで芽生えた感情である。全5試合に先発し、捕った球数は735球。「はよ、前飛ばせ……」。マスク越しに何度、ボヤいたことか。かれらは打つべきボールと見送るボールを見極め、局面に応じて打ち方を変えてきた。その狡猾さ、しぶとさと格闘する日々だった。山川穂高に浴びつづけたアーチだけでなく、取るに足らないヒットにまで「1球の怖さ」が潜んでいた。
なぜ日本一に届かなかったのか――。
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日本シリーズを振り返った坂本にとって、示唆に富んだシーンのひとつが10月30日の第5戦にあった。2点リードの8回1死一塁で、リリーフの柱である石井大智が柳田悠岐に同点アーチを浴びた場面である。
坂本は外角に構えた。初球。寸分の狂いもない石井の速球はミットめがけて飛びこんでいく。打たれるはずがない球だった。だが、150kmは柳田に打ち砕かれた。左翼ポールめがけて高く舞い、スタンドに吸いこまれていった。勝負の流れがホークスに傾く、土壇場での同点2ランになった。
「僕はあの1球を咎めることなんてできません」
意外だったのは試合後である。
日本シリーズを敗退した甲子園のクラブハウス。坂本は、責任を感じて涙した石井と話し込もうとしなかった。いや、声をかける必要を感じなかったというべきだろう。
「日本シリーズが終わった段階で僕個人としてはいろんなことを考えました。本当はこうだったのかな、もっとこうしておけばよかった……とか、でも、それを大智にこうしてほしい、こうしたかったと伝える感覚は僕にはありません。だから、大智と一緒に振り返ろうというのはなかったですね。シーズンを通してあれだけの投球をしてきて、日本シリーズもずっと投げてきた大智があの場面で打たれても、僕はあの1球を咎めることなんてできません」
そこには昨季、50試合連続無失点の日本記録を樹立し、驚異のシーズン防御率0.17をマークした石井への敬意がにじむ。柳田に投じた球はセ・リーグで無敵を誇ってきた軌道だった。プレートの一塁側を踏み、角度をつけて左打者の外角に投げこむ。球威があるだけにさばくのが難しく、相手を寄せつけてこなかった。被弾は'23年7月13日のDeNA戦以来、2年ぶりだった。
百万言を費やしたところで、あの被弾を防ぐ最適解が出るわけではない。坂本はそのことを痛感するからこそ、石井と言葉を交わさなかった。それは坂本の達観した述懐に集約されている。
「あのホームランを防げたのか、防げなかったのか。それは誰にもわからないんじゃないですかね」
そして、坂本は柳田に同点2ランを浴びた場面から記憶を遡りながら、つづけた。
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内《インタビュー》坂本誠志郎が語る“打たれた者”にしかわからない「1球の怖さ」とは?「大智はもっと強くなって帰ってくる」で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。
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