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「コズエンを破壊して玖麗さやかを自立させる」上谷沙弥の危険な優しさ…なぜ“格下”の挑戦を受けるのか?「スターダムの未来という部分だけは…」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/04/16 17:00
4月26日、横浜アリーナ。赤いベルトの王者・上谷沙弥はコズエン解散を条件に、玖麗さやかを相手に10度目の防衛戦を行う
「コズエンという中野たむを象徴するものを消す」
筆者は玖麗が話していた「試合後の光景」を上谷に伝えた。
「たぶん笑っている。自分が立って、勝ち名乗りを上げている。そして上谷がマットに沈んでいる。そんな私の後ろ姿を、エプロンのあたりから、第三者の視点でもう一人の自分が眺めている」
すると上谷は笑って言った。
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「イヤイヤイヤ、沙弥様は負けない。中野たむはファンの記憶には残っているかもしれないけれど、具体的な目に見えるものを消してやろうと思う。試合とか存在していたことは心に残っても、コズエンという中野たむを象徴するものを消す」
玖麗は最近のインタビューでこんなことも言っていた。
「上谷沙弥が持っているすべてを私が奪い返したときに、その後上谷沙弥がどうなるのか、気になります。特別な思いのある人なので、挑戦したから、ベルトを取ったから、それでいいとはならないです」
その言葉に上谷は付け加えた。
「私自身が玖麗のデビュー戦の相手を務めて、玖麗が夢を叶えるときは、私が高い壁になりたいと言ったのを覚えている。デビューからも、中野たむをめぐっても、何かと縁のある選手。もちろん玖麗が勝つとは思っていないけれど、自分が勝ったとしても、なんやかんや絡んでくるんじゃないかな。玖麗はつかみにくい。本心が見えないから」
あれから1年経っての横浜アリーナ。上谷にとっては2年連続の赤いベルトの王者としてのメインイベントだ。
「沙弥様だから当たり前。スターダムの中心、ど真ん中だから当たり前だろう。沙弥様以外にいるか? 私がど真ん中じゃないスターダムなんて面白くないだろう。考えられないだろう」
上谷はテレビにもよく出ている。
「テレビもプロレスも両方好きだよ。朝早くても、目覚ましが鳴った瞬間に一発で起きるから。でもプロレスがあってのテレビ、メディアの仕事だというのはちゃんと自覚しているから、心配しなくていいよ」
「ああ、ここの所、夢なんか一切見ないな。毎日毎日を一生懸命生きているよ。やり切って1日を終えるから、すぐ眠って、目を開けたら朝になっている。熟睡するから夢はまったく見ないんだよ。史上最大の悪夢を見せてやることはできるけどな」
上谷は最後に付け加えた。
「最近は思ったことを自由に言えるようになったな。会社も、社長も、プロレス界も沙弥様を大切にしろよ!」




