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戸郷翔征二軍調整と宮城大弥ヒジ故障で気になる“甲子園もプロも”先発の球数増加…メジャーは大谷翔平も山本由伸も今永昇太も“100球メドで降板”
posted2026/04/15 11:00
二軍調整が続く戸郷翔征と左ひじ側副靭帯損傷が判明した宮城大弥。日米の先発投手の球数を比較すると、考え方の違いが見えてくる
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki,JIJI PRESS
春の甲子園も終わり、プロ野球も開幕。本格的な野球シーズンが始まった。筆者は、高校野球、プロ野球ともに「球数」の推移が気になっている。
今春センバツでは10回188球を投げた投手も
高校野球では、2018年夏、金足農の吉田輝星(現オリックス)が、甲子園だけで881球。地方大会を含めると1517球を投げて、大きな問題となった。それを受けて日本高野連は2019年4月「投手の障害予防に関する有識者会議」を設置し、「7日500球」という球数制限を決定。2021年から導入された。以後、甲子園では「7日500球」を超えて投げた投手はいない。
この時期から、甲子園常連校は「複数の投手」を育成するのがスタンダードになった。そして先発・救援で分業したり、ローテーションを組んだりして、1人の投手の負担を軽減するのがトレンドになったのだ。
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2021年の導入以降、最多は23年春の林謙吾(山梨学院/6試合)の696球だが「7日500球」はクリアしていた。ここ2年は、大会通じても500球を投げた投手は1人だけだった。
《24年》
春 石垣元気 368球(健大高崎/5試合)
夏 馬庭優太 492球(大社/4試合)
《25年》
春 渡辺颯人 458球(智弁和歌山/5試合)
夏 末吉良丞 526球(沖縄尚学/6試合)
しかし今春、智弁学園の杉本真滉(3年)は、5試合に登板、4試合に先発し、626球を投げた。春の大会での600球超は前述した23年春の林謙吾以来。7日間の投球も497球と、リミットぎりぎりだった。
また、大垣日大の竹岡大貴(3年)は3月22日の近江戦で延長10回、188球を投げた。これは「球数制限」導入以降では2024年夏8月11日の早実戦で、鳴門渦潮の岡田力樹が9回完投して記録した185球を上回る最多となった。ただし竹岡は、次戦の山梨学院戦では登板しなかった。
高校野球だけでなく…プロでも球数が増加傾向に?
今春の甲子園で1試合150球以上を投げた投手は、竹岡のほかに長崎日大の古賀友樹(3年)が22日の山梨学院戦で163球、優勝した大阪桐蔭の川本晴大(2年)が、24日の熊本工戦、31日の決勝の智辯学園戦でそれぞれ150球を投げた。
大会全体として「投手分業」のトレンドが変わったわけではないが「能力の高い投手はリミットまで投げさせる」という傾向が強かった。また春は酷暑による健康のリスクが少ないこともあり、球数が増えたのだと個人的には感じる。「球数制限」が導入されてから5年、球数に関する高校の認識が、また少し変化しつつあるのかもしれない。
一方で、プロ野球でも、先発投手の投球数は増加する傾向にある。

