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戸郷翔征二軍調整と宮城大弥ヒジ故障で気になる“甲子園もプロも”先発の球数増加…メジャーは大谷翔平も山本由伸も今永昇太も“100球メドで降板”
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki,JIJI PRESS
posted2026/04/15 11:00
二軍調整が続く戸郷翔征と左ひじ側副靭帯損傷が判明した宮城大弥。日米の先発投手の球数を比較すると、考え方の違いが見えてくる
昭和の時代、NPBでは全試合の25~30%が1人の投手が投げ切る「完投」だった。投手の分業が進むとともに、その比率は徐々に下がった。
2001年=10.2%(1680試合中172完投)
2015年=5.5%(1716試合85完投)
2016年=2.9%(1716試合49完投)
15年に100完投を割り込み、翌年には史上最少の割合となった。しかし以後、徐々に増加して昨年は5.1%(1716試合88完投)まで増加している。昨年、日本ハムは23完投を記録したが、これは21世紀以降では7位タイの多さである。
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以下は4月12日終了時点で、両リーグの先発投手の平均投球数と、100球以上投げた先発投手の数。
セ・リーグ 82人 平均91.0球
100球以上24人(29.3%)6完投
最多投球 中日:柳裕也120球(4月3日阪神戦)
パ・リーグ 86人 平均94.1球
100球以上33人(38.4%)5完投
最多投球 オリックス:九里亜蓮132球(3月28日楽天戦)
チーム別にみると100球以上投げた先発投手数は、日本ハムと西武が「9」で突出している。対照的にDeNA、巨人、ヤクルト、ロッテは「2」。チームによって先発投手起用の考え方が明らかに違う。
宮城のケガ、戸郷の不調と投球数の懸念
日本ハムの新庄剛志監督は昨年「新しいマウンドに立ったら最後まで投げる。そういうプロ野球に戻ってほしい」と語った。確かに、先発投手がより多くのイニングを投げるのは、救援投手の負担が減り、チームとしてはプラス面が多い。
しかし、高校野球同様に――投球過多は怪我のリスクが高まる。
4月10日、オリックスのエース宮城大弥が左ひじ側副靭帯損傷で登録抹消になったが、投球数が嵩む傾向にある先発投手は、故障のリスクが高い。それを回避するために、先発救援の「分業」や、登板間隔を開けるローテーションが導入されて半世紀以上が経つ。
2024年までリーグを代表する先発投手だった巨人の戸郷翔征は昨年、球速が上がらず制球力が低下するなど突然不振に陥り、今季はここまで二軍調整が続いている。戸郷はそれまで何度も140球以上の球数を投げて完投してきたが、こうした「投球過多」が、ここへきての不振につながった可能性は否定できない。
6回ノーノ―今永も大谷も由伸も100球前後で降板
これに対してMLBでは昨今、完投は極めてレアな記録になっている。
2025年でいえば、ア・リーグは0.62%(2430試合中15)、ナ・リーグは0.58%(2430試合中14)。最多完投はアストロズのフランバー・バルデス、ガーディアンズのタナー・バイビー、レッズのニック・ロドーロの「2」となっている。その3投手の完投試合での最多球数はバルデスが96球(9回)、バイビーは105球(8回)、ロドーロは105球(9回)だ。
MLBでは先発投手の球数は100に達したら、その打者限りでほぼ降板する流れとなっている。
それは大記録がかかったケースでも例外ではない。

