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「世界中の高速コーナーが消える…」アロンソやフェルスタッペンを落胆させた鈴鹿130Rの現象に見えるF1新レギュレーションの構造的欠陥とは?
posted2026/04/01 06:00
日本GPでクラッシュしたオリバー・ベアマン(ハース)のマシン
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
衝撃的なクラッシュが、新しくなったレギュレーションのネガティブな面を浮き彫りにした。
3月29日、鈴鹿サーキットで行われた日本GP決勝レースの21周目。ヘアピンを立ち上がってスプーンカーブへ向かう途中で、前を走るフランコ・コラピント(アルピーヌ)に急接近したオリバー・ベアマン(ハース)が接触を回避するためにコースアウト。コントロールを失って、バリアに激しくクラッシュした。
バリアに衝突した際の衝撃は50Gにものぼった。ベアマンはマシンを自力で降りたものの、脚を引きずり、その場にしゃがみ込むほどだった。その後、ベアマンはメディカルセンターで検査を受けたが、幸い骨折は確認されず、大事には至らなかった。
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なぜ、事故は起きたのか。それは今年から新しく導入されたレギュレーションによって、前後のマシンに大きな速度差が生まれやすくなったことが大きく関係している。
今年、F1はさまざまなレギュレーション変更を行なった。その中で、最も大きな変更がパワーユニットの内燃エンジン(ICE)の出力を550kwから350kwに抑え、MGU-K(電動モーター)の出力を120kwから約3倍の350kwへと増加させたことだ。内燃エンジンと電動モーターの出力の割合を、これまでの約80:20から約50:50にすることで、新しい自動車メーカーの参入を促し、環境にも配慮した持続可能なスポーツへ生まれ変わることを目的としている。
だが、実際に新車が走りだすと問題が浮上した。MGU-Kの出力は約3倍に増加したものの、昨年まで搭載されていたMGU-Hが廃止されたためブレーキングによるエネルギー回生だけでは電力が足りず、どのチームも走行しながら蓄電するプログラムをパワーユニットの電子制御に組み込んだ。
ところが、その電子制御は非常に複雑で、パワーユニットやチームによって蓄電量が大きく異なる。そして、走行中に電気エネルギーを放出(デプロイ)できるマシンと枯渇(クリッピング=電欠)してしまうマシンが混在する状況を生んだ。
今回の事故はその典型で、電欠したコラピントとエネルギーを放出していたベアマンの速度差はなんと時速50kmもあった。
失われたレースの魅力
この事故以外にも、今年の日本GPでは新しいレギュレーションのネガティブな部分が目立った。鈴鹿はコース特性上、走行中に電気エネルギーを蓄電するのが難しい。名物の130Rはアクセル全開で飛び込む超高速コーナーだが、コース後半にあるため手前で電欠が起き、車速が大きく落ちてしまった。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はこう嘆く。

