- #1
- #2
モータースポーツPRESSBACK NUMBER
「“人工的”に追い抜ければいいってもんじゃない」ハース小松礼雄代表が今季の“マリオカート”F1に提言「ルールはどんどん改善されるでしょう」
posted2026/03/27 11:02
新レギュレーションでビッグチームも混乱する今季、好スタートを切ったハースの戦略を小松礼雄代表が語った
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Haas F1 Team
2026年、F1はマリオカートに染まっている。
開幕戦オーストラリアGPのスタート直後、フェラーリのシャルル・ルクレールがメルセデスのジョージ・ラッセルと激しく競り合った。今年から採用された電気エネルギーで一時的に加速する「ブーストボタン」を利用した抜きつ抜かれつの展開。そのさなか、エンジニアに無線でこう伝えた。
「マリオカートのキノコみたいだ」
ADVERTISEMENT
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、第2戦の会見で皮肉っぽく言った。
「家のシミュレーターをニンテンドースイッチに替えて、マリオカートで練習してるよ。キノコを見つけるのは結構うまくなったけど、青い甲羅はまだちょっと難しいかな」
あちこちで繰り返されるそんなやり取りを踏まえ、フランスのテレビ局「Canal+」は、日本GPの予告映像をわざわざマリオカート仕立てにした。F1のレース映像にゲームっぽい要素を重ね、アイテムを使って相手をスピンさせたり、カミナリを落として小さくしたりと本物のゲームと見まごうような凝った映像をリリースした。
エネルギー回生のためにあえてスピードを落とすF1
なぜそんなことになっているのかというと、すべての原因は今季から採用された新レギュレーションにある。
内燃エンジンと電動モーターの出力の割合が、これまでの8:2から5:5に変更され、電気エネルギーの割合が大きくなった。ルクレールが驚いたようにブーストボタンでマリオカートさながらの追い抜きが決められて、逆に相手に使われれば容易に追い抜かれる。走行中の電気エネルギー不足を補うため、あえてスピードを落として充電する「リフト&コースト」や「スーパークリッピング」という走り方も不可欠になった。
44歳のベテラン、アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソはドライビングの変化についてこう語っている。
「F1にはいつも限界に挑むようなコーナーがあった。ドライバーがあらゆる技術を駆使して、勇気を振り絞る必要があるようなコーナーがね。でも、そうしたコーナーは、もはやラップタイムを縮めるためではなく、バッテリーを充電するために使うようになっている」
果たしてそれはF1と呼べるのか。モータースポーツの最高峰カテゴリーはどんなものであるべきなのか。新レギュレーションは今、そんな根源的な問いを生じさせている。

