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「AIスマートコーチで“コソ練”したら楽しくなりました」スポーツ教育格差、部活動の指導者不足…課題解決に取り組むソフトバンクが目指す「最高の環境」とは?
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/04/03 17:01
ソフトバンク サービス企画本部・スポーツ企画2部部長の星川智哉氏。「AIスマートコーチ」の立ち上げから携わる
「筑波大学さんからスポーツ教育についてお話を伺う中で、小学校では体育、中学校では部活の指導者が不足している状況を知りました。せっかくスポーツに興味を持った子どもたちでも、うまく教えられる専門の指導者がいないことで“楽しい”と感じる体験ができず、“楽しい”と感じる前に離れてしまう子もいる。それなら、動画を指導者の代わりにできないかと考えたんです。今は小学校でもタブレットが1人1台配付される時代です。他教科では当たり前になっている「動画で学ぶ」スタイルを、体育や部活動にも広げられるのではないかと。そして気軽にスポーツを始めた人が、うまく興味を持ったまま気づきを得られるような仕組みを意識しました」
とはいえ、部活大国・日本である。お手本動画を用意しようにも、競技・種目数は無数にある。星川氏も、思わず頭を抱えた。
「全種目の8割をカバーするならば、10種目くらいかなと考えていたんですが、倍以上でした(苦笑)。まずは野球、サッカーなど競技人口の多い順に増やしていって、今では23種目になっています」
「ソーラン節」の反響
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実際に導入が進む中で、ある共通点が見えてきた。競技を問わず、「型」を学べることへのニーズの高さだ。たとえばダンス。体育の授業で必修となった今、指導に悩む先生も多い。なかでも運動会の定番である「ソーラン節」は反響が大きかった。
「ソーラン節は“型”が重要です。動画で基本を覚えれば、それを組み合わせて集団演技ができる。現場で子どもたちが自然と工夫していく様子を見て、すごく合理的だなと感じました」
同様に、あの伝統武道にも当てはまった。
「インターネット上に情報が少ない競技ほど、ニーズが高い。剣道もその一つでした。流派は違っても、基本の型は共通しています。その入口として活用されているのが印象的でした」
タブレット画面を見つめながら試行錯誤する子どもたちの顔と動きが、みるみる変わっていく。星川氏には、忘れられない光景がある。2022年末のことだった。



