Number ExBACK NUMBER
「AIスマートコーチで“コソ練”したら楽しくなりました」スポーツ教育格差、部活動の指導者不足…課題解決に取り組むソフトバンクが目指す「最高の環境」とは?
posted2026/04/03 17:01
ソフトバンク サービス企画本部・スポーツ企画2部部長の星川智哉氏。「AIスマートコーチ」の立ち上げから携わる
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kiichi Matsumoto
経験がないから、教えられない。
経験者がいないから、教えてもらえない。
2024年に実施された調査で、悲しい現実が明らかになった。
ADVERTISEMENT
49.3%。これは全国で運動系部活動を指導する教師のうち、「該当競技を経験したことがない人」の割合だ(調査協力:エクスクリエ 調査期間:2024/10/11~10/15)。
つまり、およそ半数の先生たちが経験もないまま部活の顧問や監督を任され、子どもたちに指導していることになる。日々の授業や学校行事に加え、知識もノウハウもない部活指導まで加わるのだから、その苦労は想像を絶する。
一方、子どもたちにとっても不幸な数字である。上手くなりたい、強くなりたいと願っても、お手本を示してくれる師匠はおらず、自ら調べ、生徒同士でアドバイスを送り合うしかない。民間に委託する指導者の数も少ない過疎地方、特に離島地域におけるスポーツ指導者不足は、とても深刻な状況だ。
「AIスマートコーチ」アプリの開発
この社会問題を解決すべく、立ち上がった企業がある。総合情報通信大手・ソフトバンク株式会社である。同社サービス企画本部・スポーツ企画2部部長の星川智哉氏が、そのきっかけを語る。
「我々は野球の福岡ソフトバンクホークス、バスケットボール・JBAおよびB.LEAGUEのトップパートナーなど、プロスポーツに関わる中で、現場の話を聞く機会が多くありました。そのたびに、“このままだと次の世代が育たないのではないか”という危機感が強くなっていったんです。子どもたちのスポーツ環境に対して、自分たちの得意なテクノロジーで何かできないか。そこから、このプロジェクトが始まりました」
そこで開発されたのが「AIスマートコーチ」アプリだ。これはバスケットボールやゴルフなど各種競技のプロ選手、さらに指導監修する筑波大学の選手によるお手本動画がアプリ内に多数掲載されているだけでなく、自身で撮影したプレー動画と比較することでスポーツの正しい動作を学べるというもの。AIによる骨格解析でプレー中の関節の動きまで可視化される。
ただの動画視聴ではなく、「自分の動きを客観的に見て、気づき、修正できる」ことが最大の特徴だ。
ITのエキスパートである同社が開発したこの技術を、誰に使ってもらうべきか。星川氏がスマホやタブレット画面の先にイメージしたのが、運動場や体育館でスポーツに励む子どもたちだった。

