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「AIスマートコーチで“コソ練”したら楽しくなりました」スポーツ教育格差、部活動の指導者不足…課題解決に取り組むソフトバンクが目指す「最高の環境」とは?
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/04/03 17:01
ソフトバンク サービス企画本部・スポーツ企画2部部長の星川智哉氏。「AIスマートコーチ」の立ち上げから携わる
この日、星川氏は茨城県北部・大子にある中学校を訪れた。Bリーグの社会的責任活動である「B.Hope ACTION」の一環で、同校男子バスケ部にAIスマートコーチを導入。遠隔で茨城ロボッツのユースチームコーチによる指導を受け、約1カ月後に行われるBリーグ・オールスターゲームの会場で、ドリブルとパス、ジャンプシュートを繰り返して成功タイムを競う「スキルズチャレンジ」に挑戦する企画のためだった。
体育館で子どもたちと初めて対面した時、星川氏は不安になった。
「知らない大人たちがぞろぞろとやって来たわけですから、誰でも萎縮しますよね。おとなしい性格の子が多い印象で、自分の意見を出すことに慣れていないのかなと」
生徒たちの覚醒「すごいです! とても積極的になりました」
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部員12人。顧問の先生に情熱はある。ただし、バスケ指導の経験はなく、公式戦では4年間、一度も勝てていない。そんな子どもたちが前座とはいえ、オールスター戦の舞台に立つことになったのだから、萎縮してしまうのも自然なことのように思えた。
ところが、下を向いていた少年たちは、わずか1カ月で変わった。2023年1月14日、オールスターゲームの会場であるアダストリアみとアリーナの控室を星川氏が覗くと、大子中学校の校長先生が興奮気味に話しかけてきた。
「すごいです! 子どもたちがとても積極的になりました。部活の練習時間だけじゃなく、空き時間にも自分たちでAIスマートコーチを見て、自主的にシュートの練習をして。こんなこと、今までなかったんですよ」
実際、星川氏の目から見ても、「スキルズチャレンジ」当日の生徒たちの様子は、明らかに変わっていた。
「初日とは全然違う。みんなで活発に意見を出し合って、子どもたちがすごく大人になった印象でした。実際のスキルズチャレンジでもプロバスケットボール選手の富樫勇樹選手や河村勇輝選手らスター選手が見守る中で、立派に最後までやりきりました。あの企画の後、『この1か月の間に公式戦で1勝できました』と聞いたときは、嬉しかったなぁ」
この変化は、星川氏らプロジェクトチームにとっても意外な発見だった。


