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沖縄尚学の誤算“センバツ初戦敗退”は必然だったのか? エース末吉良丞の復活、新垣有絃への必勝リレー「それでも勝てなかった」夏の甲子園覇者の現状

posted2026/03/28 17:02

 
沖縄尚学の誤算“センバツ初戦敗退”は必然だったのか? エース末吉良丞の復活、新垣有絃への必勝リレー「それでも勝てなかった」夏の甲子園覇者の現状<Number Web> photograph by JIJI PRESS

センバツ1回戦で帝京に敗れた沖縄尚学。8回途中で逆転され新垣有絃にマウンドを託す末吉良丞

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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春のセンバツ1回戦で姿を消した昨夏の甲子園優勝校・沖縄尚学。なぜ王者は早期敗退を喫したのか。そして一時は不調に陥ったプロ注目のエース、末吉良丞の現在地とは。関係者の証言から、沖縄尚学の今を探った。(全2回の1回目/後編へ)

 ◆

 高校BIG3と呼ばれる、横浜の織田翔希、山梨学院の菰田陽生、そして沖縄尚学の末吉良丞。そのうち横浜と沖縄尚学が初戦で敗退し、山梨学院の菰田はアクシデントで左手首付近を骨折してしまった。今年は波乱含みのセンバツと言われているが、そもそも開会式直後の第1試合で昨夏の甲子園優勝校・沖縄尚学が帝京と対戦すると決まった時点で、どこか波乱を予感させるものがあった。

「ああ……」

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 代打・当真騎士の打球が勢いなくサードの守備範囲に転がった瞬間、沖縄尚学のベンチ、応援団ともに天を仰ぐ。

 3点ビハインドで迎えた9回表、沖縄尚学は2点をあげてスコアは3対4。なおも2死満塁で一打出れば逆転の場面、甲子園は完全に“押せ押せムード”になっていた。

 だが、「ひょっとしたら」と期待した誰もが、鈍い金属音で現実に引き戻された。

 エースの末吉はベンチからしっかりとフィールドに視線を注ぎ、ゲームセットになった瞬間も顔色ひとつ変えず、淡々とした表情で整列のためにベンチを出た。

夏から秋までフル稼働…末吉良丞の疲労

 昨夏の甲子園優勝投手としてセンバツに帰ってきたサウスポーの末吉だが、焦点は「どれくらい成長しているのか」ではなく、「どれくらい復調しているのか」だった。というのも、夏の県大会、甲子園、U-18ワールドカップ、秋季大会、そして九州大会とほぼ4カ月の間、息つく暇もなく激戦を続け、体調面が不安視されていたからだ。

 2年生で唯一選出されたU-18ワールドカップでは、日本代表のエースとして銀メダル獲得に貢献した。しかし大会後に「さすがに疲れました」と吐露するほど、心身ともに疲弊した状態なのは明らかだった。

 秋の大会の成績は、5試合に登板して投球回数17、被安打13、奪三振23、与四死球9、防御率1.06。数字だけを見れば悪くない。しかし夏に比べると、球の強さ、スピード、変化球の精度がはっきりと落ちていた。現に、秋の九州大会では先発登板を回避し、1回戦は7回からの3イニング、2回戦は最終回の1イニングだけにとどまっている。

【次ページ】 「マウンドを降りて泣いたことも」少年時代の素顔

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