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ネトフリ独占だけでなく、大谷翔平が投げられず審判は米国人だらけ…WBC運営に“2大会連続マイアミ観戦”ブラジル在住記者が抱き続ける違和感
posted2026/03/29 17:02
大谷翔平がラストバッターとなった今大会のWBCだが、ブラジル在住日本人が感じた今大会での所感とは
text by

沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Nanae Suzuki
WBC運営は歴史的に突っ込みどころ満載
筆者は、長くブラジルに住むフットボールジャーナリストだ。ただ、広島カープが生活に溶け込んでいる広島育ちで、野球を見始めたのはフットボールより前のこと。だから野球も大好きで、マイアミがブラジルから近いこともあり、WBCは終盤の5試合を2023年大会、そして今大会と連続して観戦した。
今回、日本では今大会のNetflixの独占配信による地上波テレビ放送の消滅が物議をかもしたそうだが――この大会の運営は、歴史的に突っ込みどころ満載だ。
WBCを運営するのはMLBとMLB選手会が共同で設立した事業会社だが、世界で最も人気があるフットボールと比べると課題が多い。
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W杯が始まったのは1930年だが、WBCが創設されたのは2006年で76年も遅い。W杯では2026年大会の予選には206の国と地域が参加した一方で、WBCは予選を含めて今大会に参加したのは24カ国だから、約9分の1。競技人口はフットボールが推定2億7000万人で野球は推定3500万人だから、約8分の1という現実がある。
ただし、筆者は野球の魅力がフットボールの10分の1以下とは全く思っていない。発祥国アメリカ、そして人気と浸透度ではアメリカ以上とも思える日本の世界的普及への努力の質と量が足りないだけだと考えている。
保険問題、大谷やスクーバルのように出場制限も
WBCの最大の問題は、MLBや日本のプロ野球(NPB)のスプリングトレーニングの真っ最中である3月に大会を開催する点にある。
選手の故障を避けるために投手なら球数制限が設けられ、チームによっては選手の供出を拒んだり、出場に関して細かい制約(投手なら投球数の上限と下限、出場する状況の指定)を設けたりする。
WBCの運営団体は大会期間中の負傷に備えて保険をかけるが、リスクが大きすぎるとして保険会社が引き受けを拒んだり、あるいは保険料が高すぎてWBC運営団体が支払えず、出場できないことがある。優勝したベネズエラで言えば大谷翔平や山本由伸の同僚であるミゲル・ロハスがこれにあたった。

