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「ライト層がごそっと抜けた」WBCのNetflix独占配信は“終わりの始まり”なのか? 球界ご意見番の苦言「お金もうけがすべて」普遍的視聴権をめぐる議論 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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posted2026/03/24 17:01

「ライト層がごそっと抜けた」WBCのNetflix独占配信は“終わりの始まり”なのか? 球界ご意見番の苦言「お金もうけがすべて」普遍的視聴権をめぐる議論<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBCの準々決勝でベネズエラに敗れ、グラウンドを見つめる日本の井端弘和監督

 イギリスの「クラウンジュエル」制度をはじめ、EU諸国、オーストラリア、韓国等では、国民的関心事とされるスポーツイベントの有料テレビおよび有料配信による独占放送を規制する制度が法的に整備されている。具体的な運用実態は各国によって異なるものの、オリンピックやW杯のようなスポーツイベントについては「全世帯の90~95%以上」が視聴できる無料テレビ放送を義務づける、という概要はおおむね共通している。法規制に関しては慎重な議論が求められるとはいえ、野球人気の高い日本でもし同様の制度が導入されれば、公共性の観点からWBCの有料独占配信が禁止される可能性は高いだろう。

 今回のNetflixによる独占を受けて朝日新聞が行った世論調査では、「WBCがテレビ放送で見られないこと」について「問題だ」が44%、「問題ではない」が50%という結果が出ている。また3月14日には、Netflix Japanの坂本和隆バイスプレジデントが朝日新聞のインタビューに答えた記事が掲載された。記事のタイトルには「『テレビで見られない』批判への答え」とあったものの、ユニバーサル・アクセス権への具体的な言及はなかった。一方で、「稲葉さんがタッチ? 最高じゃん」と喜ぶ感性の人物が「日本のコンテンツ部門トップ」を務めている、という事実は示唆に富むものではあった。

「WBCは見ていない」球界ご意見番の苦言

 日本が敗退した翌日の3月16日、広岡達朗氏に電話取材を行った。ヤクルトスワローズと西武ライオンズを日本一に導き、2月に94歳になった名将は、「テレビでやらないから見ることができない」とWBCの視聴を断念していた。

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「楽しみにしていたんだがね。結局、お金もうけがすべてということ。本当はNHKがやるべきだろう」

 あまりにもストレートだが、胸に突き刺さるコメントだった。広岡氏は体調がいいようで、2カ月ほど前に電話をしたときよりも声に張りがあった。

「なんにしても、テレビでやらないのはよくない。本来ね、こういうことは評論家と呼ばれる人たちが言うべきなんだよ。誰も言いやしないが」

【次ページ】 “失敗から学ぶ”ことはできるのか

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