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「Netflixへの憤りはない」WBC“商用利用NGで放映断念”野球居酒屋に聞いた本音「前回は午前中も満席だった」街ではゲリラ放映も…Netflix独占問題の実情

posted2026/03/24 17:00

 
「Netflixへの憤りはない」WBC“商用利用NGで放映断念”野球居酒屋に聞いた本音「前回は午前中も満席だった」街ではゲリラ放映も…Netflix独占問題の実情<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

Netflix独占配信となった2026年のWBC。準々決勝で敗れた日本の最後の打者は大谷翔平だった

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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Nanae Suzuki

Netflix独占配信によって一変したWBCの視聴環境。国民的関心事だったはずのスポーツイベントが、前回大会のような熱狂をもたらすことはなかった。「商用利用NG」のため放映を断念した野球居酒屋の本音、“ゲリラ放映”を行った街の飲食店の実情、そして球界のご意見番の直言とは……。多くの問いを突きつけた「Netflix独占問題」を考察した。(全2回の1回目/後編へ)

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 ベネズエラのショートを守るエセキエル・トーバーが大谷翔平の打ち上げたフライをキャッチした瞬間、「2026年のWBC」は日本においては失敗として記憶されるだろう、と率直に感じた。それは単に日本代表がベスト8で敗れたという事実とは別の意味を持つ、より広義の失敗だった。

 大谷というスターを擁し、過去最多となる8人のメジャーリーガーが参戦していた通称“侍ジャパン”に、2023年のようなクライマックスはついに訪れなかった。熱狂とは無縁の静かな終戦――その瞬間さえNetflixに加入していなければ見ることが叶わないという事実が、敗北の虚脱感をいっそう際立たせていた。

新宿で、渋谷で…WBC“ゲリラ放映”の実情

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 2026のWBCは、広く日本で暮らす人々に、競技外で大きなテーマを突きつけてきた大会だった。すなわち、見るのか、見ないのか。あるいは、視聴できる環境なのか、そうでないのか。すべてはNetflixが約150億円という巨額の放映権料を投じて独占配信権を獲得したことに端を発していた。

 独占配信によって話題を呼んだのが、スポーツバーをはじめとした飲食店での商用利用に関する報道だった。Netflixサイドは利用規約にある「Netflixサービスおよび当該サービスを通じてアクセスされるコンテンツは、お客様の個人的な非商業的用途に限る」という姿勢を堅持し、またWBCに際して商業用のライセンスを別途設けることもなかった。事実上、飲食店等での商用利用は規約違反となるため、野球ファンの常連客を抱える飲食店でも放映を断念せざるを得なくなった、という。

 3月6日の18時。英国風パブ「HUB」の一店舗である「82新宿三丁目店」では、日本の初戦であるチャイニーズ・タイペイ戦前のセレモニーをふたつのモニターで放映していた。それほど広くない店内はスタンディングを含む大勢の客でにぎわっている。店員によると、椅子のある席はすでに予約でいっぱいだという。HUBはWBCの放映についてNetflixとの提携を実現させ、飲食店としては例外的に“公式放映”を行えることになっていた。

【次ページ】 放映を断念した店主「Netflixへの憤りはない」

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