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「ライト層がごそっと抜けた」WBCのNetflix独占配信は“終わりの始まり”なのか? 球界ご意見番の苦言「お金もうけがすべて」普遍的視聴権をめぐる議論 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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posted2026/03/24 17:01

「ライト層がごそっと抜けた」WBCのNetflix独占配信は“終わりの始まり”なのか? 球界ご意見番の苦言「お金もうけがすべて」普遍的視聴権をめぐる議論<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBCの準々決勝でベネズエラに敗れ、グラウンドを見つめる日本の井端弘和監督

 仮に地上波での試合中継が行われていたとしても、今大会の日本代表が同じ熱を生むことは難しかったかもしれない。だが、「テレビでやっているから見る」という受動的な視聴行動と、「Netflixに登録して見る」という能動的なそれとでは、金銭を支払う以前のハードルの高さが明確に異なる。加えて、高齢世帯を中心に「Netflixの登録方法がわからない」「視聴に適したネット環境が整備されていない」という人々も存在する。地上波と比較してはるかにアクセスしにくい状況が、ボリュームゾーンである「積極的な野球ファンではない層」の興味を減じさせたのは間違いない。

 高橋さんは実感を込めてこう語った。

「放映権を獲得できなかった日本の放送局もNetflixも責めるつもりはないんですが、結果的に誰もが見られる環境ではなくなってしまった。街頭テレビに観衆が殺到していた時代にみんなでスポーツを観戦する土壌ができて、その観戦文化の成熟のうえに現在の隆盛があるわけじゃないですか。そういった機会がなくなってしまうのは残念ですし、危機感も正直抱きますよね。長い目で見たときに、“野球の終わりの始まり”になりかねないのでは、と。いわゆるライト層がごそっと抜け落ちた結果が、今回のWBCを取り巻く空気だと思うので」

諸外国では法整備「普遍的視聴権」とは何か

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 NetflixのWBC独占配信について共同通信が3月7日、8日に行った世論調査で、「試合を見たいので新たに契約した。あるいは契約する」と答えたのは全体の4.9%だった。また日本経済新聞の報道によると、3月2日から8日にかけてNetflixの新規ダウンロード数が前年比4.8倍に伸び、利用者数も2.3倍に増えたという。

 これらの数字は、Netflixの予測の範囲内だったのだろうか。日本代表が準々決勝で敗退したことで、放映権料として約150億円を投じたというNetflixの目論見は外れたのだろうか。実際のところ、それはわからない。商業的な論点よりもむしろ重要だと思えるのは、ここにきて日本でも議論されるようになったユニバーサル・アクセス権(普遍的視聴権)の問題だ。

【次ページ】 「WBCは見ていない」球界ご意見番の苦言

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