テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「メンタルを言い訳には」大谷翔平まさかの“40打席連続ノーアーチ”も…真美子夫人とデコピンとクリケットバットがドジャース1年目序盤を救った
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/27 17:01
大谷翔平にとってドジャース1年目の2024年、開幕直後は本塁打が出ず苦しんだ
代名詞の本塁打が出なかった。バットを垂直に立てた新打撃フォームの対応にも苦しみ、2日まで33打数8安打、打率.242。「早く(本塁打を)打ちたいという気持ちで、どんどんいいアットバット(打撃)からかけ離れている状態だった」と焦りもあった。それでも「長期的に見ると、自分の打ち方からかけ離れていく」と自身のスタイルを貫いた。
専属通訳だった水原氏の違法賭博問題が発覚し激動の日々が続き、鼻水をすすり、せき込む姿も多くなり「(チーム内で)はやっているので、ここ数日は。だいぶ良くなった」と体調不良だったとも明かした。
メンタルを言い訳にしたくない。そこも含めて技術
《2024年4月3日 サンフランシスコ・ジャイアンツ戦○5-4》(ドジャースタジアム)
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待望の本塁打が飛び出した。4-3の7回2死。前夜二ゴロに倒れた左腕タイラー・ロジャースの、高めに浮いたシンカーを逃さなかった。打球速度105.5マイル(約169.6キロ)の打球が、右中間席中段に着弾。メジャー自己ワーストを更新した開幕からのノーアーチを9試合、41打席目で止めた。エンゼルス時代の23年8月23日のシンシナティ・レッズ戦以来224日ぶりの一発は、飛距離430フィート(約131.1メートル)。5万2746人の本拠地の大観衆も、総立ちとなった。
「自分の中ではかなり長い間、打っていないなという感覚だった。まず1本出て安心しているのが率直なところだと思います」
手術後の右肘にはまだ、黒い特殊なサポーターがあった。大谷は一塁手前で、その右拳をグッと握りしめた。これまであまり見せたことがなかった小さなアクションには安堵や苦悩、喜び、計り知れない感情が込められていた。
大谷の一発でチームは137年ぶりの9戦連続5得点以上の球団タイ記録となり4連勝。
「これを機に自分の打席を継続したい」
試合前にロバーツ監督から「自分らしくいればそれでいい」と助言され「気持ちが楽になった」という。それでも「メンタルを言い訳にしたくない。そこも含めて技術」と言い切った。2018年のメジャー初本塁打と同じ4月3日の新天地1号も不思議な導きだった。
“秘密兵器”はクリケットバット
《2024年4月8日 ミネソタ・ツインズ戦○4-2》(ターゲット・フィールド)
大谷が通称「おもちゃ箱」の中から選んだのは、クリケット用のバットだった。

