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WBC日本“じつはバレていた”致命的な弱点「低めを捨てろ、高めを狙え」ベネズエラ監督・コーチ明かした“作戦の中身”「吉田正尚ら日本人選手を調べ上げた」
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/17 17:22
強豪が敵を分析し尽くし、周到に戦略を練ってきたらどうなるか。その答えをベネズエラは、日本との準々決勝で見せつけた
「我々は、日本でプレーしている投手たちのビデオを見て、さまざまなことを話し合った。情報は十分にそろえている。彼らは質の高い投球をしているし、ストライクゾーンの上下を広く使っている。同じように低めを捨ててストライクゾーンにきた球をアグレッシブに打っていく」
その言葉通り、5回に2番マイケル・ガルシア(ロイヤルズ)が隅田知一郎から打った2ラン本塁打は、ファウルで低めの球をカットするなど8球目まで粘った末の甘く入ったフォーシーム。6回に7番ウィルヤー・アブレイユ(レッドソックス)が伊藤大海から打った逆転3ラン本塁打も、高めに入ったフォーシームだった。
これは勝てる…確信した瞬間
投打ともに作戦通りに試合を進めたロペス監督は、戦いながらこれは勝てると確信する場面があったという。それは、日本のベンチワークを見たときだった。
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「我々は、日本の監督がどのようにブルペンを運用しているのかを注意深く見たいと思っていた。試合中、驚いたことがある。彼らはデータ分析を活用していないと思うことが何度かあったからだ。左打者に左腕、右打者に右腕を持ってくるということをしていなかった。こちらは、そのような細かいブルペン運用をしていた。だから我々は勝てたのだ」
こうしたブルペン運用は、データに基づく最も有効性の高いマッチアップとしてメジャーでは当たり前に行われている戦い方だ。ベネズエラは複数のトップスターを擁するメジャー軍団というだけでなく、監督やコーチもまたメジャー経験豊富な指導者たちであり、チームすべてが「メジャー式」だった。
五輪出場枠の獲得も
その上、ベネズエラが今大会にかける意気込みは格別だった。このWBCは米州の代表チームにとって、2028年のロス五輪出場枠もかかっており、開催国の米国を除く上位2チームが五輪出場枠を獲得することがあらかじめ決まっていた。ベスト4入りを果たしたドミニカ共和国とベネズエラは、わずか6チームしか出場できない狭き門の出場枠を獲得。しかもベネズエラにとって、野球では初の五輪だ。
「五輪出場枠獲得が何より一番の目標だった。目標を果たすことに貢献できて幸せだ」
ロペス監督はそう言った。
こうしてベネズエラは日本を撃破したのだった。


