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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「当然、若月に代打を送ると…」なぜ周東佑京は“出場しなかった”のか?「周東をスタメンに」まさかの敗北、WBCベネズエラ戦前にあった“幻の起用プラン”
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/18 11:01
ベネズエラ戦直前の周東佑京。「侍ジャパンの切り札」は最後まで投入されなかった
2023年の前回大会で、周東の役割は至ってシンプルだった。外野のスタメンは近藤健介、ラーズ・ヌートバー、吉田正尚。周東は攻撃の場面でとっておきの「代走の切り札」だった。そしてこれが、準決勝のメキシコ戦で快足を飛ばしてサヨナラのホームを踏む、あの歴史的な場面を生み出した。
前回大会から、打撃面が大きく成長していたが…
しかし、3年の月日は周東を大きく進化させた。守備固めや代走のスペシャリストを飛び越え、走攻守ともに欠かせないスター選手へ。2024年は123試合に出場し、センターとしてゴールデン・グラブ賞、ベストナインをダブル受賞。昨シーズンはリードオフマンとして打率.286、出塁率.357を記録した。
ホームランを放ったチェコ戦後、周東は自身の成長についてこう話している。
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「打った瞬間入るとは思いました。この3年間の取り組みが間違ってなかったと思いますし、(バッティングは)この3年で自分自身でも成長できた部分ではある。足と守備だけでなく、バットでも貢献できたことは本当に嬉しいです」
しかし、選択肢が増えたことは井端監督にとって嬉しい誤算となった。“とっておき”の存在を先発で使ってしまえばもう一人、終盤の勝負手が必要になる。2024年の「プレミア12」や2025年秋の韓国代表との練習試合で日本ハムの代走の切り札である五十幡亮汰を起用したのは、そのためのテストだった。
ベネズエラ戦でじつはあった“幻の起用プラン”
先発として結果を残したチェコ戦後、首脳陣の中では打撃不振の近藤に代わってベネズエラ戦でセンターに周東をスタメン起用し、鈴木をライトに置くプランもあがっていたという。しかし、それができなかったのは金子ヘッドコーチも口にしていた「切り札が少ない」というチーム事情から。まして佐藤を先発でライトに起用し、鈴木の負傷交代という不測の事態で森下も早々に出場した展開で、周東という“とっておき”を中盤で使うことがためらわれたということか……。
しかし、肝心の終盤においても周東の出番はついに巡って来なかった。8回2死から5番の岡本和真が出塁した場面。3点ビハインドとなった最後の9回は、ベネズエラのリリーフ右腕の160kmを超える速球を前に、8番・源田壮亮が空振り三振。若月の代打に送られた近藤もなす術なく見逃し三振に倒れた。
「チームが世界一になれば、自分の成績は別にあんまり関係ないと思っている。(起用法は)どんな場面でも対応できるように、とにかくチームが勝てるようにやっていきたい」と話していた周東。とっておきの切り札は、ダグアウトにもたれたまま最後のバッターになった大谷の飛球を呆然と見上げ、早すぎる終戦を迎えた。
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ベネズエラ戦で活躍の場を与えられず、今大会を終えた選手は他にもいる。後編では、井端采配に残された“もう一つのナゾ”を追う。《つづく》


