将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太も羽生善治も渡辺明も伊藤匠も尊敬するからこそ…「羽生世代は勝ち負けが」「藤井さんは技術に重きを」永瀬拓矢の“将棋AI+世代論”が面白い
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byShigeki Yamamoto(L),Keiji Ishikawa(C,R)
posted2026/03/18 06:03
永瀬拓矢が旧知の記者に語った羽生善治や藤井聡太らトップ棋士の世代論とは
「今日、決めたかったという思いはありますか?」
永瀬はすぐに口を開いた。
「もちろんそうですけど、全力を尽くすだけなので。小学生の頃に、『絵に描いた餅』という故事成語を習いました。どれだけ見事に描かれていても食べられないってことですよね。だからいくら勝つことを思い描いていても、実際に成し遂げられなければ意味がないんです。やっぱり将棋は完全に自力の競技ですので、技術が非常に大事になってくる。藤井さんも技術に重きを置かれています。だから自分にできることは全力でぶつかるだけなんですよ。もちろん結果を求める部分もあるんですけど、そこまでではない。常にこちらが全力を出してどうなるかなので、引き続き全力でぶつかるしかないんです」
ADVERTISEMENT
最後に少し雑談をして、お礼を言ってから電話を切った。
普段の半分くらいの時間だったがこれでいい。永瀬は明日、東京に戻って、その2日後に叡王戦の挑戦者決定戦がある(結果は負け)。それから王将戦第6局の移動日までは中4日ある。その4日間は研究会を入れておらず、静養と研究に集中するそうだ。
自分は藤井さんと違って、あまり興味が…ハハハ
翌朝、那須塩原は深い雪に覆われていた。東北新幹線からの車窓は見事な雪景色だった。勝負に明け暮れている藤井と永瀬の目にも、この雪は美しく映るだろうか。
突然、前日の最後の雑談がよみがえった。
「移動もなかなか大変です。座っているだけでも違う疲れ方をしますからね。自分は藤井さんと違って鉄道にあまり興味がないので。ハハハ。新幹線は割と好きですけど、好きか嫌いかで言ったら好きというだけで、まあ54くらいです」
AIの期待勝率になぞらえて、微差で有利、つまりちょっとだけ好きだと言っている。
「54なんて先手の元々のリードくらいですからね。ハハハ」
〈つづく。第1回などは下の【関連記事】からご覧になれます〉

