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藤井聡太も羽生善治も渡辺明も伊藤匠も尊敬するからこそ…「羽生世代は勝ち負けが」「藤井さんは技術に重きを」永瀬拓矢の“将棋AI+世代論”が面白い 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph byShigeki Yamamoto(L),Keiji Ishikawa(C,R)

posted2026/03/18 06:03

藤井聡太も羽生善治も渡辺明も伊藤匠も尊敬するからこそ…「羽生世代は勝ち負けが」「藤井さんは技術に重きを」永瀬拓矢の“将棋AI+世代論”が面白い<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto(L),Keiji Ishikawa(C,R)

永瀬拓矢が旧知の記者に語った羽生善治や藤井聡太らトップ棋士の世代論とは

「私も藤井さんも伊藤さんも柔軟なほうというか、将棋ソフトに対しては抵抗がありません。強くなることを重視するというベクトルも似ていますし。そういう意味では、羽生世代の先生方とはずいぶん違うように思います」

永瀬が語る「羽生先生」や藤井らのリスペクト

 永瀬がリスペクトするのは伊藤と渡辺だけではない。羽生善治九段の名前もよく挙がる。

「自分の地位が多少上がったからと言って、羽生先生のことを羽生さんと呼ぶのはおかしいと思うんですよね」と語っていたほどだ。

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 羽生世代の全盛期にはAIが今ほどの性能を持っていなかったので、使う者はいなかった。

「羽生世代はいろいろな意味で頑固だったと思います。もちろん自分たちが築いた実績に自負もあったでしょうし。ただAIを熱心に使って実力を伸ばすような方向性には向かっていかなかったように見えます。その辺は正直、見ていてよくわからなかったですし、現在のトップ層とはかなり状況が違っているような気がします。とんでもなく強かった、いや今も強いですけどね」

 私が「羽生世代はとにかく勝つことを重視していたように見えます」と永瀬に言うと、「そうですよね。私もそう思うんです。勝ち負けがものすごく大事だという。いや、大事なんですけどね」と返ってきた。

 藤井や伊藤、永瀬という現代のトップを張っている棋士たちは、実力をつけることを主眼に置いている。棋力が上がれば、結果は自然についてくるという理屈だ。これは本人たちもしばしば口にしていることである。それについて改めて永瀬に訊いた。

「そうですね。強くなることは大切ですし、強くなりたいと心から思います。それは正論ではあるんですけど、勝負との釣り合いが必要になってきます。やっぱり勝たなきゃいけないですし。だから綺麗事ばかりじゃないと思うんですけど、強くなりたいという気持ちが3人の軸になっていることは間違いありません。自分は対戦する棋士にも恵まれています」

 強くなること。勝たなければいけないこと。藤井聡太への敬意とリスペクト。そしてその藤井を倒さなければいけないということ。永瀬の胸にはいろいろな思いが去来している。

将棋は完全に自力の競技ですので…引き続き全力で

 取材を始めてから35分が過ぎた。いつもよりは短いが、そろそろ潮時という気がした。もっと聞きたいことがなかったわけではない。だがシリーズ中だし、先ほど決着したばかりの将棋以外のこと、例えばシリーズ全体についての質問は避けたほうがいいだろうと思った。翌週には第6局が控えている。

 それでも、どうしても尋ねたいことがあった。ひとつだけいいですか、と断ってから、質問をした。

【次ページ】 自分は藤井さんと違って、あまり興味が…ハハハ

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