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「監督の息子だから部長になった」甲子園常連校になるまで“冷ややかな雑音”「決して親バカでは」センバツ優勝候補の親子指導者はどう封じたか
posted2026/03/17 17:50
山梨学院の吉田健人部長(左)と吉田洸二監督。親子関係のチームにあって、どのようなチーム運営をしているのだろうか
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
船頭が2人いると選手はやりづらくなるので
わずか10年余りで、全国有数の強豪校へと一気に駆け上がった。山梨学院は今春、5大会連続9回目の選抜高校野球大会に出場する。
センバツ切符をかけた昨秋の関東大会では、圧倒的なスコアで頂点に立った。決勝で花咲徳栄(埼玉)に14−5で勝利するなど、3試合で計31得点。今秋のプロ野球ドラフト会議で1位指名が有力視される菰田陽生投手と、昨夏の甲子園でも好投した檜垣瑠輝斗投手の左右2枚看板を中心とした投手陣に加えて、得点力の高さも見せつけた。
吉田洸二監督は山梨学院を甲子園常連校、さらに甲子園で勝てるチームへと変えた。その秘密は指導の引き出しの多さに加えて、もう1つある。それが「右腕」の存在だ。
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山梨学院には、もう1人の「吉田」がいる。
吉田監督の長男、吉田健人部長(以下、健人部長)。年間計画や日々の練習メニューを考え、その方針をコーチ陣と共有している。
吉田監督は練習中、存在感を消している。選手からやや離れたところから、様子を見守る。練習に関しては、部長やコーチ陣に任せている。その意図を説明する。
「船頭が2人いると選手はやりづらくなるので、部長に一本化しています。部長は私が考える野球を理解しているので、改めて練習の狙いや目的を伝える必要もありません」
指揮官は、息子でもある健人部長を自然に「部長」と呼ぶ。その関係性に慣れていない人からすると違和感があるかもしれないが、2人にとっては「監督」と「部長」が当たり前になっている。グラウンドを離れても呼び方は変わらない。吉田監督は「息子という感覚がないので、他のコーチ陣と同じように接しています。普段の生活でも、部長と呼んでいます。私の脳の認識は、部長になっていますから」と笑う。
“部長”は明るさも厳しさもあるタイプ
親子でタッグを組んだのは2015年だった。吉田監督が山梨学院の指揮官になって3年目、清峰高校から山梨学院大学に進学した健人部長は学生コーチとしてチームに加わった。指揮官にとっても転機だった。

