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「オオタニ? 4打席連続四球だね」不気味なベネズエラ…WBC打撃コーチの“大谷翔平敬遠作戦”は本当か? 主力野手が明かす「ヤマモト攻略プラン」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/13 17:05
ベネズエラ戦に向けて、記者会見する大谷翔平(31歳)
2006年、第1回の時など、アメリカの選手団は滞在先のホテルでものんびりしたものだった。体はフィットしているとは言い難く、「スプリングトレーニングをちょっと抜け出してきました」みたいな雰囲気を隠すでもなかった。まだ、大会自体がその程度の存在だったのだ。
WBCを真剣勝負の舞台に育てたのは、2006年、2009年と連覇をした日本と、その日本と名勝負を繰り広げた韓国である。名勝負の誕生は、選手、メディア、ファンの間で「WBC」の価値を上げることになった。
そして両国につられるように、チャイニーズタイペイも代表の強化を進めてきた。昨年のプレミア12で日本を破って優勝したことで、今年のWBCには大応援団が東京ドームにやってきた(総武線、丸ノ内線でファンの姿が目立った)。
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つまり、「代表」という存在に思い入れのある東アジア諸国がトップレベルの選手を招集することで、WBCの格が上がった。
2013年の第3回大会ではドミニカ共和国が優勝し、プエルトリコが2位。もともと選手間のつながりが強いカリブ海諸国は大会ごとに集まって試合ができることを楽しんだ。
「あるまじき失態」米メディアの批判
そして3年前、アメリカは決勝で日本に敗れたことで、「本気スイッチ」が入った。今大会に向けてはアーロン・ジャッジ、ブライス・ハーパー、カイル・シュワーバーといった選手たちが早々に参加を表明し、前回までは消極的だった各球団のエース級の選手たちが参加するようになった。
昨季の両リーグのサイ・ヤング賞投手、ポール・スキーンズ(パイレーツ)、タリック・スクーバル(タイガース)が参戦しているのも、参加するための条件が緩和されたのかもしれない。
ただし、イギリス戦で唯一の登板を終え、タイガースのキャンプに戻ったスクーバルは、自責の念に駆られたようだ。
「最初はオールスターゲームみたいな雰囲気だと想像していたけど、まったく違った。むしろ、オールスターとは正反対だ」
お祭りに参加したら、ガチの戦いのなかに放り込まれていた――みたいな感じだろうか。
スクーバルはタイガースに戻ることについて、「自分のキャリアのなかで最もタフな決断のひとつだった」と話しており、チーム内は真剣勝負に対する準備が整っていると推察される。
ただしアメリカの場合、マーク・デローサ監督がグループステージのイタリアとの最終戦を前に、「もう準々決勝進出が決まっている」と勘違いしていたことが発覚。イタリアに敗れ、そのイタリアがメキシコに勝ったことで、「他力本願」でどうにか準々決勝のカナダ戦を迎えることになった。
しかし、アメリカのメディアは「監督にあるまじき失態」と厳しく追及。そりゃ、当たり前です。大会のルールを把握していなかったというわけですから。
“ヤマモト攻略プラン”とは…
さて、日本とベネズエラ戦である。
WBCでは初対戦、初めての真剣勝負だ。
試合を前にグレイバー・トーレス(タイガース)は、日本の先発が予定されている山本由伸対策についてこう話した。

