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「圧倒的な力の差があった」藤井聡太に“3連敗”したあとの後悔…「もうちょっと強くなっとけよ」山崎隆之(45歳)が取材で何度も繰り返した“ある言葉”
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byAsahi Shimbun
posted2026/03/18 11:00
1年9カ月ぶりに本誌に登場した山崎隆之九段(45歳)
タイトル戦に挑戦したものの、順位戦で降級。18勝23敗という過去最低成績の年度は終わった。新年度に入ると心機一転、新期の順位戦の表ができる。
「もちろん即、復帰を狙っていました」と山崎は語る。「降級したばかりで順位もいいですしね。3敗ならギリギリ昇級の可能性はあると思っていたので、そういう状況で最終戦を迎えたかった」
山崎は走った。3戦目で黒星を喫したが、他は白星を重ねて2026年に突入した。迎えた8回戦の三浦弘行九段戦が最も印象に残っているという。
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「粘り強く指すことがテーマでした。お互いにいろいろあったのですが、最後の最後で、粘り勝ちのチャンスがあるとしたらこれしかないと思っていた手が指せた。ただ投了の局面で、こう指されたらどうしようっていう手があったんですよね。ツキもありました」
取材で何度も繰り返した“あるフレーズ”
9回戦にも勝利して、山崎はB級1組復帰を決めた。B級2組は羽生などタイトル経験者や、これからトップ層で活躍するであろう俊英が入り混じったクラスで、以前よりもレベルが上がっている。以前はB級1組が「鬼の住処」と言われていたが、いまはB級2組だろう。そして現在のB級1組は「A級2組」と喩えていい。現代の鬼の住処を1期で抜けたのは実力の証明である。
「三浦戦だけじゃなくて、他にも幸運だった将棋があるんです。例えば5回戦の横山(泰明七段)戦は最後、こちらの玉が詰んでいたのに勝つことができた。こういう幸運を逃してしまうと来期は降級点を取る可能性があると思ったので、しっかり生かせてよかったです」
山崎は「幸運」と何度も語ったが、それはぼんやりしていて舞い降りたのではない。「粘り強く指す」を強く意識していたことの賜物だ。
B級1組の抱負を聞くと、「こういう将棋を見せたい、とかないです」と山崎は言う。しばらく黙った後に、この取材で何度か聞いたフレーズを口にした。
「粘り強く指す。そのことの精度を上げていきたい。それをやらないと、最終戦の前に降級してしまうでしょうから」
山崎隆之Takayuki Yamasaki
1981年2月14日生、広島県出身。森信雄七段門下。'98年四段。2013年八段、'25年九段。棋戦優勝は8回。タイトル戦には'09年王座戦、'24年棋聖戦の2度出場を果たす。得意戦型は相掛かり。
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